「バイヤーイネーブルメント」という言葉を知っていますか?
アメリカで流行しており、今営業に関わる方は全員が知っておくべき言葉です。
そもそも「バイヤーイネーブルメント」とは何か、
どのようにしてこの取り組みが生まれたのかといった観点で、「最新の営業トレンド」を解説します。
今注目のワード、「バイヤーイネーブルメント」とは?
アメリカでは「セールスイネーブルメント」という言葉が流行っており、日本でも流行しつつありますが、
それと同じぐらい「バイヤーイネーブルメント」という言葉も非常によく使われるようになっています。
バイヤーとは「製品を購買する人」つまり、「セールスされる側」ですが、
実はアメリカでは、「バイヤーがどんどん複雑化している」という問題が顕在化しているのです。
具体的には、アメリカ企業において新しい取り組みに投資したり、
製品やサービスを購買する際に「社内で購買に関わる人数があまりに多すぎる」という問題です。
アメリカの著名な調査会社、ガートナーの調べでは、
アメリカの大手企業では何かを購買する行為に平均で6~10名の方が関わっているようです。
それだけ多くの方が関わるとなると、検討する観点がその分だけ多くなりますし、意思決定が複雑になってしまいます。
購買プロセスにおいて6~10人の方の意見を一つに合わせるのは非常に難しく、
「購買の意思はあったけど、購買プロセスが複雑であるために、結局買うのをやめてしまう」という状況に陥りかねません。
この悪循環が回ってしまうと新規投資ができなくなってしまうでしょう。
営業観点・顧客観点の両面で、この問題はアメリカで非常に大きくなりつつあるのです。
営業観点では、営業をするため・製品やサービスを購買してもらうための工夫やノウハウは開発されていますが、
「顧客観点=バイヤー側をどうフォローするか・どう動かすか」というアプローチをすることが重要だ、という風潮になりつつあります。
先ほどのガートナーの調査では、「顧客が購買に必要な情報コンテンツを提供し続けることで、購入してもらえる可能性は最大3倍まで上げることができる」と述べられています。
バイヤーイネーブルメントは買い手(バイヤー)がスムーズに社内調整をする上で、関係者の意見を揃えるための情報提供をしっかり行い、
「これを買うべきだ」と思ってもらうための取り組み・活動・考え方であると言えます。
なぜバイヤーイネーブルメントが流行?:
「ミレニアル世代」の存在も一因
バイヤーイネーブルメントが流行となっている背景には、
「ミレニアル世代の存在」も忘れてはなりません。
ミレニアル世代は1980年~95年までに生まれた世代であり、
この世代は生まれたころからインターネットに触れている世代と言われていますが、
「BtoBビジネスにおいて購買を担う顧客担当者の半数はミレニアル世代が占めている」というデータがあるのです。
ミレニアル世代の方々は、それ以前の世代の方々と比べ、
「営業担当からの”売り込み”を極端に嫌う」傾向にあると言われています。
ネットに慣れ親しんでいる世代であるため、「ネットで調べれば分かる情報」は営業から聞く必要もないし、自分で調べられるので営業に売り込みされるのは面倒だ、と考えるのです。
ミレニアル世代にとってはこの考えがBtoB取引においても通ずるところがあります。
会社として新しい投資や取り組みをする際、
ミレニアル世代以前の方々であれば「まず営業マンから製品やサービスの特徴を聞く」ということから始めると思いますが、
ミレニアル世代の方々は営業マンとのコミュニケーションはせず、まずネットの情報等をインプットに購買を進める傾向にあるのです。
こうした時代的な背景もあり買い手側の状況も大きく変容しつつある今、
「営業のやり方」そのものを抜本的に変えなければなりません。
アメリカでは、各社が色々悩みながら営業の取組を進めている状況です。
購買プロセスにおいては「営業をなるべく介在させない」ことも必要になってきますが、
とはいえ、顧客の購買をサポートする必要があります。
その結果として、できる限り顧客の役に立つ情報をお客様に提供し続け、
お客様に大しては「豊富な情報をもとに購買活動を進めてください」と伝え続け、購買プロセス全体をサポートしていく必要があります。
バイヤーイネーブルメントの進め方「4つのポイント」
では、バイヤーイネーブルメントはどのように進めるべきでしょうか。
具体的には、どのような情報を伝えると良いのでしょうか。
アメリカではLinkedIn社が出しているバイヤーイネーブルメントに関するレポートが非常に有名です。
そのレポートの中では、まずコンテンツとして大きく「4つ」のものを用意しろ、と言われています。
1つ目は分析やデータに関わるもの。
お客様が購買活動を進めるうえでの市況感や、スタッフの課題に関連するようなデータでっす。
2つ目は「購買のアドバイス」に関わるもの。
「なぜ今、それに投資をするべきか?」「社内でこのように話を通すと経営者の方も前向きに捉えていただける」等、お客様が購買プロセスを前に進めるうえで役に立つ情報です。
3つ目が「お客様の利用シーン」。
お客様も、自社の状況が良いのか悪いのか、悪いのであればどれほど深刻なのか、等は客観的にわからないことが多いため、お客様の状況を自己診断できるようなコンテンツがあると良いでしょう。
4つ目が「他社との比較」。
具体的には、競合他社との機能やサービスの比較に関するコンテンツです。
必要なコンテンツをご紹介しましたが、特に「購買の助言」をするためのコンテンツが必要である、という点がポイントだと考えています。
営業の方も、お客様に売るために様々なアイデアを考え、工夫されていらっしゃると思いますが、
情報の伝え方として、自社から「買ってください」と一方的に伝えるよりも、「買ってもらうために必要な情報を提供する」という観点が非常に重要です。
つまり、「営業側が頑張る」のではなく、「買い手・顧客側に頑張ってもらう」というスタンスです。
バイヤーイネーブルメントのコンテンツの提供方法
では、ご紹介した4つのコンテンツをどうお客様に届けるのか。
提供方法としては3つあります。
1つ目は、お客様に情報共有できるプラットフォームを用意することです。
購買関係者が6~10人もいると、メールでPDFを送付するだけでは十分に伝え届けることができません。
そのため、関係者全員に共有できるデジタルプラットフォームを整備すべきでしょう。
2つ目は顧客ごとのシミュレーションです。
「お客様の現状の環境であれば、このように弊社の製品使うとXXというメリット・アウトカムがありますよ」とお伝えをするイメージです。
3つ目はお客様のヒアリングにより得た情報を元に案内をすること。
これは当たり前かもしれませんが、一方的に伝えるのではなく、
お客様のヒアリングやフォームへの入力内容に合わせる形で情報を提供し続けることです。
このように、「顧客体験を作っていく」ことが、バイヤーイネーブルメントでは必要な観点であると思います。
ちなみに弊社openpageでも、
バイヤーイネーブルメントを進めていただくために、セールスに必要なコンテンツの制作をサポートする機能、顧客に資料を共有できるデジタルプラットフォームを機能として用意していますし、
弊社の取り組みを元にバイヤーイネーブルメントの構築のサポートも行っております。
バイヤーイネーブルメントに興味がある企業のご担当者様は、ぜひお問い合わせをいただければ幸いです。