はじめに
デジタルトランスフォーメーション(DX)の波は、BtoBの購買活動にも大きな変化をもたらしています。かつての営業は、訪問や電話で顧客とコミュニケーションを取りながら、製品の説明や提案を行うのが一般的でした。
しかし、昨今のリモートワークの浸透により、非対面・非同期でのやりとりが増加。営業と顧客の接点はデジタルにシフトし、購買プロセスもオンラインを中心としたものへと移行しつつあります。
こうした変化に伴い、BtoBセールスで注目を集めているのが「バイヤーイネーブルメント」です。これは、デジタルコンテンツなどを活用して顧客の購買活動を支援し、意思決定を促進する取り組みを指します。
本記事では、デジタルセールスルーム(DSR)の専門企業であるopenpage社の知見をもとに、バイヤーイネーブルメントに必要な5つのコンテンツについて解説します。
1. 導入事例や利用シーンを紹介するコンテンツ
バイヤーイネーブルメントの第一歩は、顧客の課題意識を喚起することです。そのために効果的なのが、自社製品・サービスの導入事例や活用シーンを紹介するコンテンツです。
事例を通して、顧客が抱える課題やニーズを浮き彫りにし、自社のソリューションがどのように貢献できるのかを具体的に示します。加えて、業界動向やトレンドに関する情報も盛り込むことで、問題意識を醸成していきます。
事例となるコンテンツ
- 導入企業インタビュー記事
- 活用事例の動画
- 業界別ソリューション資料
- 利用シーンをまとめたリーフレット
2. 製品・サービスの理解を深めるコンテンツ
次に重要なのが、自社製品・サービスへの理解を深めるコンテンツの提供です。特に、リモートでのコミュニケーションが主流となった現在、"伝える力"が試されます。
Webサイトや資料だけでなく、動画コンテンツなども積極的に活用しましょう。機能の説明やデモンストレーションを通して、顧客に製品・サービスの特長やメリットを印象付けます。
理解を深めるコンテンツ例
- 製品機能の一覧と説明資料
- 操作デモ動画
- ソリューション提案書
- 技術的な仕様や構成図
3. 導入検討を後押しするコンテンツ
さらに、本格的な導入検討の段階では、顧客の意思決定を後押しするコンテンツが必要です。 自社製品・サービスの強みや優位性を訴求するだけでなく、他社との比較情報も盛り込むことが大切です。
また、定量的なデータを用いて、期待される効果や投資対効果(ROI)を可視化。意思決定者の理解と納得を得やすくします。
意思決定を支援するコンテンツ
- 競合他社との比較資料
- 期待される定量的な効果
- ROIを試算するシミュレーター
- 導入工数やスケジュールのイメージ
4. 社内説明・稟議を支援するコンテンツ
いよいよ、顧客社内での意思決定のフェーズです。しかし、この段階で購買担当者は、上司や他部門への説明・調整という大きな壁に直面します。
営業担当は、顧客がスムーズに社内稟議を進められるよう、サポート役に徹する必要があります。説得力のあるロジックや客観的なデータを盛り込んだ資料を用意し、顧客の購買担当者に「武器」を与えるのです。
説明・稟議用のコンテンツ
- 導入事例のまとめ資料
- 業界動向を裏付けるデータ
- 費用対効果の試算資料
- 想定されるQ&Aと回答集
5. 購買プロセス全体を通した情報共有・コミュニケーション基盤
最後に、購買プロセス全体を通して欠かせないのが、情報共有とコミュニケーションの基盤です。 メールや電話、オンラインミーティングだけでは、情報が分散し、連携もスムーズに進みません。
openpage社が提供するデジタルセールスルーム(DSR)のように、営業と顧客をつなぐプラットフォームを導入することをおすすめします。 提案資料や議事録、タスクなどを一元管理し、双方の認識を合わせながら、購買プロジェクトを円滑に進められる環境を整えましょう。
まとめ
デジタル時代のBtoB営業には、顧客の購買プロセスに合わせたコンテンツ提供が欠かせません。バイヤーイネーブルメントの考え方を取り入れ、適切な情報を適切なタイミングで届けることが大切です。
企画や提案だけでなく、社内稟議のサポートまで、営業の役割は広がっています。単なるセールスパーソンではなく、顧客の意思決定のパートナーとしての存在が問われているのです。
自社のコンテンツ戦略とデジタル基盤を今一度見直し、新しい時代の営業スタイルへの変革を進めていきましょう。