ユーザベース社内で実際に使っているカスタマーサクセスの施策とは!?
今回も株式会社ユーザベースのカスタマーサクセス・大沢さんをお招きして、対談形式でお届けします。Openpage代表・藤島から、色々な角度で質問をしていきます。
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カスタマーサクセスとしてうまくいった・うまくいかなかった施策とは!?
うまくいった施策:
うまく製品を使えていないユーザーの「解像度」を高める
藤島:
大沢さんはカスタマーサクセスについて、さまざまな施策に取り組まれていると思いますが、その中身について聞いていきたいと思います。
施策をやられる中で良かったこと、あるいは「うまくいった施策」はありますか。
大沢:
「こんなこと言われたら元も子もないよね」という話なのですが・・・。
僕らは「僕らのサービスを使えていない方(ユーザー)の解像度」を高めていくことが、とても重要だと思っています。
言い換えれば「超ハイタッチ」コミュニケーションですね。
テクニック等じゃなく、
「なぜ使えていないのだろう?」
「どうやって使えるのだろう?」
「追加開発は必要なんだろうか?」
みたいなことが頭の中にはあるのですが、これらを直接、お客様に聞きに行ってしまう。
もちろんすぐに使っていただける状態になればいいですし、
「やっぱり使えない」となれば、どうやったら使えるようになるのか、そのお客様と長めにコミュニケーションしていくことにしていて。
そしてこれが、結局一番効くんですよね。
つまり、お客様にとって「嬉しい」と感じていただけることなので、これをやり続けるっていうのが一番いいかなと思っています。
うまくいった「超ハイタッチ」施策とは!?
藤島:
「超ハイタッチ」というパワーワードが出てきましたが(笑)、
大沢さんにとっての「超ハイタッチ」について、もう少し具体的に聞いてもいいですか。
大沢:
みんなが思っているハイタッチを、「愚直に何回でもやる」ということですね。
1回目のミーティングでお客様と「全部確認できた!OK!」となれば、もちろんそれはそれでいいのですが、そうじゃないケースもあって。
お客様自身も「よくわかっていない」というケースもあるんです。
その場合は、「ここの部分だけまた確認させていただいていいですか?」といった話をして、次回のアポを忘れずに取っておきます。
こうやって整理すると非常にシンプルなことなのですが、やっていること自体はハイタッチですね。
逆に、うまくいかなかった施策とは!?
藤島:
他にやってみて大変だった、何かうまくいかなかった施策とかってありますか?
大沢:
さっきの逆かもしれないですね。
本当は「超ハイタッチ」な施策をやりたいと思っていて。
できれば、お客様の一次情報を自分の手で取りに行きたいのですが、それを全てのお客様にやろうと思って破綻してしまった、みたいな話です。
僕らはお客様への製品・サービスの浸透(アダプション)を「アクセラレーション」という英語を使って話していて、その役割をカスタマーサクセスで担おう、という意志を持って日々取り組みを進めています。
SaaS(Software as a Service)を提供する企業では、開発チームがプロダクト開発を頑張ってくれてると思うのですが、
「こんな機能リリースできました!」とお客様にお伝えしても、認知してくれている方は多くても1割ぐらいしかいない。
残りの9割の方の中で「めちゃくちゃ使いたい人がいるかもしれない」ということが重要で、
この9割の人たちに「ちゃんと使っていただける状態まで持っていく」取り組みこそが、「浸透」です。
これをハイタッチでやっていたのですが、僕のリソースが逼迫してしまい、途中で終わってしまいました。
そこで方向性を変えてですね、テックタッチのツールを導入したり、面談やアポイントまではいかなくとも、電話でお客様一つ一つ確認、ということをしながら、最終的には目標を達成できました。
お客様に製品を「浸透」させていくための施策とは?
ハイタッチとテックタッチ施策の「複合技」で攻める
藤島:
「浸透」というのは非常に面白いキーワードだと思いました。
お客様に「浸透」させるための取り組みとしては、どのようなことをやるのでしょうか?
大沢:
これは「何か一つのことをやる」というよりは基本的には「複合技」なんですよね。
ハイタッチももちろんやりますし、そのプラスアルファの部分で、
お客様とのお電話の中で「あの時説明した話なんですけど・・・実際使えていますか?」みたいな話もしていく。
それでもお客様の中では連絡がつかない方もいらっしゃるので、
メール、画面上にシステムを組み込んでアクセスいただいた方に直接入ってきた人にアプローチをしていく、「テックタッチ」的な施策もしています。
藤島:
電話が駄目だったなら、デジタルのタッチポイントやメールを活用していく、ということなのですね。
「ハイタッチがなかなかうまくいかなかったのでテックタッチを導入した」というお話だったと思いますが、テックタッチとしては具体的にどんな取り組みをされたのですか。
大沢:
「ApCues」というサービスを使いました。
当時自社で開発が完了した、「プッシュ通知でメールを送信する機能」を展開する時にプッシュ通知をするためにまずユーザー側での初期設定が必要でした。
つまり、ユーザーに動いていただく必要があり、そこまでの動線が必要だったのです。
この動線を、連絡がつかない人にもテックタッチで案内して、動線をちゃんと踏んでもらって、初期設定をしてもらいました。
お客様に送るメールにも工夫が!
藤島:
確かに「対面よりもメールのコミュニケーションがいい」という方もいらっしゃいますもんね。そのメール内容も工夫されてらっしゃったんですね。
大沢:
そうですね。
メールについてはデザインチームに入ってもらい、メールのデザインから全部作ってもらって、「毎日開きたくなる」ような工夫をしています。
藤島:
「毎日開きたくなる」メールはどんなメールなのでしょうか?
大沢:
一つは「メールのタイトル」です。
昨今のテーマで言えば「メタバース」「Web3の新事実」等、まずタイトルで「皆が知りたい情報」をちゃんと出すことが重要です。
もう一つは、これちょっと細かい話なのですが、メールを開く前に出ている「アイキャッチ」も、目に止まるようなデザインで作ってもらいました。
藤島:
もう完全にカスタマーサクセスというよりは、マーケティング業務に近いですね。
大沢:
そうですね。
当然カスタマーサクセスなので、「マーケティングをやっている」とは思っていないのですが・・・結果的にカスタマーサクセスにマーケティング要素が一部入ってきた、という感じです。
藤島:
テックタッチという観点では、デジタルマーケティング系のツールや機能を使うことも多いので、「デジタルマーケターをカスタマーサクセスに異動させる」という動きも聞きます。
ただ、デジタルマーケも「希少人種」なので、マーケティング部とカスタマーサクセス部門の取り合いになる。
そして、マーケティングの方がちょっと強いから、カスタマーサクセス部門が負けてしまう、ということを聞いたことがあります。
大沢:
確かにマーケターが活躍できるカスタマーサクセスの領域もあるので、面白いキャリアなんじゃないかと思います。
藤島:
ハイタッチだと、営業やコンサル等「対人的」なものになりますが、
今回のお話のように「メールで反応ありそうなコンテンツ」を考えていく上では、マーケティングの能力が重要ですね。