King&Prince 永瀬廉くんは神カスタマーサクセス担当だった!?
2023年にNHK Eテレさんの「とまどい社会人のビズワード講座」という番組で、
私がカスタマーサクセスを題材に解説するというような機会をいただきました。
<番組の概要はこちら>
番組のメイン司会者はKing&Princeの永瀬廉さんですが、
永瀬廉さんとの共演を踏まえて「異なる領域からもカスタマーサクセスの観点で学ぶことが多い」ということを痛感しました。
King & Prince永瀬廉さんの「ファンの方への姿勢」はカスタマーサクセスに通ずる
本番組は20代視聴者の方が多く、永瀬さんと同じ年代の若い社会人の方々に向けて、「わかりづらい」ビジネスワードを番組で取り上げ、
一緒に学んでいきましょうというものです。
「カスタマーサクセス」というキーワードも、一見すれば分かるようでよく分からないワードですし、
一般的な社会人の感覚からすると「ギリギリ知っているけれどもあまりよく分かってない」という感覚なのではないでしょうか。
私が最初にこちらの番組のお話をいただいた時には
「いやいや、あの永瀬くんにカスタマーサクセスを教えるなんて・・・」と思ってしまいました。
むしろ私のほうが永瀬くんに学ばせていただきたい、というのが正直なところでした。
そのため、もともとNHKさんが作成された番組の構成には入っていなかったのですが、
私の興味本位で「永瀬くんはファンのためにどのような工夫をしているんですか」という質問もしました。
この話は休憩時間にしていましたので番組の中には含まれていないかもしれませんが、
永瀬くんが話されていたのが「ファンの方々をなるべくみんな覚えるようにしている」ということでした。
もちろんただ覚えるだけではダメで、「この人はこういうことをしたら喜んでもらえた」等一歩踏み込んだところまで考えていらっしゃったのが非常に印象的でした。
例えば活動初期に小規模でライブをやっていたときから居てくださるファンや、
何回も来ていただいているファンの方は、特に大事にしている、とおっしゃっていました。
「廉くんはファン精神がすごく染みついてる方なので、カスタマーサクセスなんて当たり前にやってるかもね」といった話は楽屋や打ち合わせのミーティングでも自然と話題に上がりました。
私はカスタマーサクセスの研究者的なポジションであることが多いですが、
永瀬くんはどちらかといえば「天然のカスタマーサクセス担当」と言えるのではないでしょうか。
永瀬さんのような方が、どのようにファンの方に向き合っているのかを学び取り、
それを参考に、企業も「自社だったらどんな取り組みができるか」という形で、アクションを考えていく必要があると思っています。
消費者の購買行動に影響を与える「ファン」の力
「ファンが応援してくれる」ということは、企業が営業活動や宣伝活動をするよりもより多くの人を引きつけます。
openpage藤島も、かつて「MarkeZineDay」というマーケティングのイベントで「顧客企業は体験やレビューをより重視する傾向に」という内容を紹介したことがあります。
カスタマーサクセス時代の購買傾向として、
特に「若い世代(ミレニアル世代)の方が何に注目して物を買うのか」についてフォーカスしたのですが、
「ベンダーのマーケティングが購買行動に影響を与える」という割合は25%程度でした。
一方、評判・レビューに基づく購買行動はその2倍近く(50%程度)であり、
ベンダーがただマーケティング活動をするよりも、評判や周囲の人たちの口コミのほうが相当なパワーを持っていることがわかります。
少し話は逸れるのですが、
今回の番組出演をきっかけに、openpage藤島もKing & Princeの新曲のCDを買いました。
番組出演前に、Twitter(現・X)で「永瀬廉さんと、カスタマーサクセスについてNHKさんで話をしました」という割と真面目な堅めな投稿をしたのですが、
永瀬くんのファンの方々が、私のツイートに対して感謝のコメントやリツイートをたくさんしてくださいました。
正直、私のツイートは個人的には「業務報告」っぽい内容だと思っていたため、
私のフォロワーの方々(カスタマーサクセス関連の業界の方が多くいらっしゃいます)からは多少の反応があるかな、と思っていたところ、
実際に「いいね」や「リツイート」で反応いただいた方の大半は、永瀬さんのファンの方々だったのです。
おそらく、そういった方の中にはカスタマーサクセスを全然知らない方もたくさんいらっしゃると思いますし、
永瀬くんを通じて初めてカスタマーサクセスに触れた、という方もいらっしゃったかもしれません。
永瀬くん、そして永瀬くんの多くのファンの方が一生懸命に「カスタマーサクセス」というワードを広げてくれたということへの感謝もあり、King & Princeや永瀬くんにより一層興味を持ちました。
カスタマーサクセスを学ぶ上では、一般的には私みたいなカスタマーサクセスを発信している人から学ぶ、
あるいはカスタマーサクセスに取り組んでいる企業から学ぶケースもあるでしょう。
一方、視点を変え、永瀬くんのように「本人は別にカスタマーサクセスを意識しているつもりはない」方でも、
「カスタマーサクセスのセンス」的なものが高い方から学ぶことも非常に大事な観点なのではないかと思います。
特にカスタマーサクセスは、取り組んでいる企業も決して多くなく、歴史は非常に浅いです。
そのため、アイドルのようなファンビジネス、高級ホテル・旅館等のブランディング等、別領域・業界の取り組みからも謙虚に学び取ろうという姿勢をもって見ることで、
カスタマーサクセスを学ぶこと、カスタマーサクセスに取り組むことに対して新しい視座が開けて勉強になるのではないでしょうか。