カスタマーサクセスにおいて見るべき「KPI」とは?
カスタマーサクセスにはヘルススコアをはじめとする「見るべき指標」が数多く存在しますが、製品や事業のフェーズ、カスタマーサクセスの取り組みのフェーズによって、見るべき指標は異なります。
今回は、カスタマーサクセスの「KPI設定方法」について解説します。
KPIの話の前にー「そもそもPMFしているか?」
今回はカスタマーサクセスにおける「KPI」がテーマですが、
KPIの話をする前に、そもそも「製品がPMFしているかどうか」でカスタマーサクセスとして置くべきKPIは変わってくると考えています。
PMFは「プロダクトマーケットフィット(Product Market Fit)」の略で、
プロダクトは「製品」、マーケットは「お客様や市場」を指しており、
それぞれがフィットしているかどうか、ということです。
PMFも定義は様々ありますが、
基本的にはお客様が「この製品がとても良い」と思ってくれており、低い解約率が続いている状態、と定義できるでしょう。
カスタマーサクセスを検討するにあたっては、新しい事業やプロダクトをどうお客様に浸透させていくか、ということを考えていくことになりますが、
そもそも「製品がちゃんとお客様に受け入れられているか」がわからない、
製品を作っても売れなかったり、売れたけどお客様の役に立てず解約される、というケースも多いでしょう。
そのため、製品がPMFしている、つまりお客様に製品が受け入れられている状態が作られていなければ、
「カスタマーサクセスのKPIを考える以前」の問題になってしまうのです。
製品がPMFする「前」のカスタマーサクセスのあるべき姿
逆に、「PMFする前のカスタマーサクセス」はどう考えるべきか?という疑問が生じると思います。
これに対しては、そもそもPMFしてないのであれば、
KPI等は言わず、とにかくハイタッチでお客様に付き添って取り組みを進めた方が良い、とお答えします。
KPIという形で目標や指標にとらわれず、「何が何でもやろう」といった姿勢の方が、最初は良いでしょう。
例を挙げると、イタンジ株式会社という不動産業界向けのクラウドを扱っているベンチャー企業がありますが、
プロダクトがPMFするまではとにかく「超ハイタッチ」で取り組みをしていったようです。
そもそも「PMFしていない状態=製品が出来上がったばかりで未熟な状態」であることがほとんどですので、お客様からのプロダクトに対する要望をしっかり汲み取っていくことが重要です。
また、このフェーズでは「解約率」をざっくりと目標には置くことも必要ですが、
一方で「解約を防ぐために細かい目標設定する」というよりは、
「本当にお客様のためにどんなことが必要か?」「こういうことをやった方がいいんじゃないか?」等、色々と模索することがより重要です。
もちろん、このフェーズですとお客様の数自体もそんなに多くないはずですので、
「ヘルススコアで測ろう」といったことを言う必要もありません。
全社でお客様に気を配り、しっかりと手厚いサービスをハイタッチで提供し続けるべきでしょう。
製品がPMFした「後」のカスタマーサクセスのあるべき姿
こうした取り組みを経て、無事にPMFを達成できれば、
「自社製品のこんな点は他社製品と比べても違う、競争優位性がある」というポイントがだんだんと出てきます。
そうなるとお客様も増えてきてなかなか管理しづらくなってくるため、
「では、カスタマーサクセス的なKPIを置いてマネジメントしましょう」という話になるでしょう。
PMFした後のKPIとしては、
基本的には「プロダクトの利用率」を最初に追うべきでしょう。
具体的には、ログインされてるのかどうか、や「MAU (マンスリーアクティブユーザー:月間アクティブユーザー数)」、
アカウント数や基本的な機能をちゃんと利用しているのか、
つまり「ちゃんと製品を触ってもらえているか?」を測ることが、最初にやるべきことではないでしょうか。
KPIを見ながら管理していくと、段々「こういう指標も見たいな」等欲張りたくなってきますので、
例えば契約のデータやメールの開封率、イベントの参加率等、見るべきKPIを増やしていくことをお勧めします。
以前別記事でも「DEARフレームワーク」について解説しました。
これは、カスタマーサクセスのヘルススコアを設計するときに、「D=Deployment」「E=Engagement」「A=Adoption」「R=ROI」から構成されるフレームワークですが、
最初から全部の指標を見ることは難しいため、ひとつずつ、見る指標を広げていくことが重要です。
まとめ
今回の記事をまとめると、下記の通りとなります。
- カスタマーサクセスのKPIの設定方法は、PMF前はそもそも「KPI」は設定する必要はなく、ハイタッチ中心に手厚く顧客フォローに徹するべき
- PMFが無事に達成できればお客様が増えてくるため、管理するためにヘルススコアやKPI等の指標を導入し、見るべき指標も徐々に広げていくべき