今回は「副業でカスタマーサクセスはありか、なしか?」というテーマです。
カスタマーサクセスの副業や転職のサービスを取り扱っている株式会社KOMMONSの白塚様と、Openpage代表・藤島の対談形式でお届けします。
(以下敬称略)
カスタマーサクセスが副業をする理由
「自分の市場価値を確かめるため」の副業
藤島:
白塚さんは、カスタマーサクセスの副業や転職のサービスを取り扱っている株式会社KOMMONSの代表でいらっしゃいます。
最近のカスタマーサクセスの方はどのように活躍されているのでしょうか。
白塚:
カスタマーサクセスを副業でやられるケースは大きく「2つ」あります。
1つ目は、カスタマーサクセス自体、ここ2〜3年で盛り上がってきた領域であり、「自分のカスタマーサクセススキルがどのぐらいなのか」がわからないパターンが多い。
そのため「自分の市場価値を確かめたい」というケースが多いです。
藤島:
「自分がやっているカスタマーサクセスは自社でしか通用しないのか?それとも他の会社に行っても通用するのか?」ということですね。
白塚:
おっしゃる通りで、企業によってカスタマーサクセスの形態が異なります。お客様も違えば、プロダクトも違いますので、企業ごとに個別最適化されている側面が強いです。
その中でも「共通点」つまり汎用的なスキルがあったりするので、「こんな自分のスキルが生きてくるのか」という新たな気づきがあるのです。
藤島:
確かに、ホリゾンタルSaaSとバーティカルSaaS、あるいはお客様がSMB(Small and Medium Business:中小企業)とエンタープライズ(大企業)とでカスタマーサクセスのやり方は違う、というのもよく聞かれます。
「他の会社に行ってみて自分のスキルが通用するのか?」を確かめてみるということですね。
プロフェッショナルとしてのカスタマーサクセス人材
白塚:
カスタマーサクセス人材も「プロフェッショナル」としての市場価値が直近高まってきている、という点もポイントです。エンジニアのようにフリーランスとして活躍する、といった姿を目指されてる方も多い印象です。
藤島:
その「市場価値を確かめる」という目的の副業として、実際にどれくらいの人数の方が副業をされているのでしょうか。
白塚:
KOMMONSの登録者の中でも2〜3ぐらいの方、ベースとしては100人弱ぐらいの方が副業をされています。私どものサービスだけでもこの人数なので、「実はカスタマーサクセスの副業をやっている」という方は増えているのではないでしょうか。
藤島:
実は弊社OpenpageもKOMMONSから2〜3人、カスタマーサクセスの副業人材の方とご一緒させていただいております。
白塚:
カスタマーサクセスの副業人材をご紹介させていただいて、実際いかがでしょうか?
藤島:
白塚さんからは、ハイタッチのカスタマーサクセスの方と、いわゆる「CSOps」という企画職に近い方等をご紹介いただいています。
お2人とも、カスタマーサクセスとしてはベテランの方ですので、弊社の中でもすごい活躍をしていただいております。
白塚さんは日頃から優秀なカスタマーサービスの方とお付き合いされているというイメージがあり、その中でも特にプロフェッショナル意識の高い方をご紹介していただけていると感じています。
白塚:
やはり「副業をやりたい」「カスタマーサクセスを極めていきたい」という方が多いので、そのような評価をいただくことが多いのではないでしょうか。
副業としてのカスタマーサクセスの担当領域
担当領域の4分類
白塚:
カスタマーサクセスの副業に関しては大きく4つの分類があると思っています。
つまり、カスタマーサクセスの①設計面・②実働面・③お客さん対応・④全体の業務フローという4つです。
その中でも、④カスタマーサクセスの業務フローの設計という領域に副業で入られている方は多いです。
藤島:
これからフローを作る段階や、今あるフローを改善するケースで副業として入られることが多いということですね。
白塚:
おっしゃる通りです。
カスタマーサクセスの経験がある方が、自社で一通りフローの構築を完了させ、その知見を副業で生かされるケースが多いと思います。
特にこのカスタマーサクセスの立ち上げ期、拡大期は営業の方々が兼務されていることも多く、専任の方を見つけられなかったりするので、そういったタイミングで「まずは副業でプロフェッショナルの方が欲しい」というニーズが増えています。
藤島:
確かに、最初のフロー設計のタイミングで、いきなり専任のカスタマーサクセスの担当を置くっていうのはなかなか難しいのかもしれないですね。
即戦力としての「副業CS」
藤島:
ちなみに、先ほど「カスタマーサクセスの実働面」でも入っていただけるというお話がありましたが、実働面というのはハイタッチ等で直接入っていただけるイメージなのでしょうか。
白塚:
はい、カスタマーサクセスの実働、つまりお客さん対応に関しても副業の方が多くなっています。
理由として、カスタマーサクセスの未経験者の方をいちからトレーニングするとなると、どうしても時間がかかってしまうため、「副業の方々が即戦力として顧客対応を任される」というケースが増えているためです。
カスタマーサクセス人材の不足
藤島:
やっぱり世の中的には、カスタマーサクセスの人材は不足しているのでしょうか?
白塚:
おっしゃる通り、まだまだカスタマーサクセスをしっかり理解して進めてる人っていうのは限られてるんじゃないかなと思います。
そのため、副業人材や専門家の方に入ってもらって教えてもらうといった形で社内のトレーニングを進めていくお客さんも多いですね。
藤島:
私も前職は人材系の仕事をしていましたが、カスタマーサクセス人材は転職市場にまだそこまで出てないのでは、と思っています。
今カスタマーサクセスに取り組まれている方は、現職で活躍されてる方が多いと思うからです。
転職市場に出始めるまでにもう2〜3年ぐらいはかかるんじゃないかと思っており、
そうなると「カスタマーサクセスの経験者を企業が自社で活用する」という観点であれば、副業の方の活用は理にかなっている方向かなと思います。
白塚:
「カスタマーサクセスの方を社内で採用したい。ただ、ちょっと難しそうかな」ということを、市場の皆さんが理解し始めている段階だと思います。
これからの「カスタマーサクセスでの副業」
白塚:
カスタマーサクセスの副業の件数自体は、今後もっともっと増えていくんじゃないかなと思っています。
それは、Saas業界の企業自体も増えていくと思いますし、最近ではSaaS以外の業界や、地方の企業がカスタマーサクセスをやりたいというケースもかなり増えてきています。
そういったSaaSからの広がりも、今後ますます増えていくんじゃないかなと思っています。
そこにカスタマーサクセスの副業人材っていうのが、さらに活躍する余地があるのではないでしょうか。
藤島:
先日弊社でも「CSプラウド」という大型イベントを行って、どういう方が参加したのか分析をしました。
7割方はSaaSやクラウドの事業者として働かれている方々、
2割ぐらいはSIerとかITコンサルティング領域の企業様、
残り1割がBtoCやその他領域に強い企業、というバランスでした。
「SaaS以外でのカスタマーサクセスの注目度も伸びている」と感じましたね。
SaaSを提供する企業の数も、あるいは企業におけるSaaSの活用自体も上昇基調にあると思っています。
SaaSが増えれば増えるほど、カスタマーサクセス業務が発生していくので、日本国内での全体としてのカスタマーサクセス人口はまだまだ増えていくのではないでしょうか。
白塚:
いろいろな企業さんが直近でリサーチされていると思いますが、企業によっては、カスタマーサクセスとセールスが同じぐらいの人数、というケースもあったりはしますしね。
まとめ
今回は「カスタマーサクセスの副業」についてご紹介しました。
カスタマーサクセス人材はまだまだ市場に多くなく、特にカスタマーサクセスのフロー設計から実働までまるっと任せることのできる人材は特に貴重であると言えます。
企業にとっても、カスタマーサクセスの部門立ち上げ時に「専任担当」を置くことはなかなか難しいため、カスタマーサクセスの副業人材の存在感がより一層増してくるでしょう。
カスタマーサクセスに今関わっている方も、自社の取り組みで得た知見や経験を、副業として他社のカスタマーサクセス業務にも活かすことができるのではないでしょうか。