カスタマーサクセスにマーケティング視点が必要な理由

  • 公開日:2022年3月23日(水)

カスタマーサクセスという仕事は、文字通り顧客の成功を目的として活動を行います。そのためには、ハイタッチを中心とした手厚い支援で顧客に寄り添うというスタイルも有用なのですが、一方で、顧客支援をスケールさせて多くの顧客の成功を実現するには、それとは異なる考え方も必要になってきます。

今回は、カスタマーサクセスにマーケティング的な視点を取り入れることの重要性やその理由、実際に取り入れる際のポイントなどについて解説していきます。

なお、カスタマーサクセスとマーケティングの連携については、こちらのeBookでも詳細を解説しています。あわせてご覧ください。

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カスタマーサクセスは支援方法によって必要な考え方が異なる

顧客の成功のために活動するカスタマーサクセスですが、支援の方法ごとに、それぞれ必要な考え方が異なります。

ハイタッチ支援とロータッチ支援の違い

カスタマーサクセスでは、想定されるLTVをもとに顧客を分類し、ハイタッチ、ロータッチといった支援方法を使い分ける必要があります。

特に、一定以上の規模の組織であれば、全ての顧客にハイタッチで手厚い支援を行うことは難しく、ロータッチ支援の充実が不可欠になってきます。

ハイタッチでの支援が、顧客のニーズに柔軟に応え、成功するまでぴったりと寄り添うような個別的な対応が必要なのに対して、ロータッチではツールを活用して、標準化された一律の支援を複数顧客へ行うことになるため、いかに効率と効果を両立させられるかが焦点になってきます。

ロータッチにおいて重要な考え方

ロータッチでは、ツールの利用や複数顧客への同時対応など、支援の内容によっては大きく効率を上げることができますが、一方で、こうした効率重視の支援は、顧客にとっては、かゆいところに手が届かないような画一的な内容になってしまうこともあり、注意が必要です。

効率を重視しながらも、それぞれの顧客にとって価値のある支援を行うことを常に考えなければいけません。

そのためには、顧客を属性やタイプといったデータをもとにして分類し、できるだけパーソナライズされた顧客体験を提供するという考え方が必要になってきます。そしてこれは、マーケティング分野の顧客管理の考え方と非常に親和性が高いものだと言えるでしょう。

ロータッチがマーケティングと似通った考え方をするのに対し、ハイタッチの手厚い支援は、コンサルティングや営業と近いものがあります。

このように、カスタマーサクセスは支援方法によって必要な考え方が大きく異なり、この点を意識して活動することで、成果をより大きくすることが可能になります。

カスタマーサクセスにマーケティング視点が必要な3つの理由

カスタマーサクセスにとってマーケティング視点を取り入れることの重要性を、両者に共通の考え方を掘り下げながら見ていきましょう。

顧客のセグメンテーション

複数への同時支援でも、パーソナライズされた体験を届けることを可能にするには、顧客をその属性によっていくつかのタイプに分類し、それぞれの課題や実現したいことに合ったコミュニケーションをとっていく必要があります。

この際に役立つのが、マーケティングにおけるMAツール利用のノウハウといえます。

見込み顧客を検討ステージに応じてリスト化して管理し、顧客リストごとに最適な情報をメールなどでアプローチするといった方法は、そのままロータッチのカスタマーサクセスにも転用することが可能です。

既存顧客のエンゲージメント

見込み顧客ではなく、すでに契約している顧客に対して行われるリテンションマーケティングも、カスタマーサクセスと非常に親和性の高い分野です。

既存顧客のエンゲージメントやロイヤルティを焦点にして、顧客のニーズの把握、適切なコミュニケーション、製品やサービスの案内を行って継続利用や再購入を促すリテンションマーケティングは、既存顧客に対してアップセルやクロスセルを促すカスタマーサクセスの考え方とほとんど一致しているといえます。

そのため、マーケターとカスタマーサクセスの両者がノウハウを共有し、協力することで双方の成果を向上することに繋がるでしょう。

カスタマージャーニーに沿った戦略の策定

顧客が製品を知り、購入に至って、最終的に利用を終えるまでの一連の流れを可視化するための方法として、カスタマージャーニーマップの利用が挙げられます。

顧客の興味関心や行動の流れを客観的に整理し、プロセスごとに必要なアクションを見極めることで、顧客体験を最大化する戦略の策定が可能になります。

カスタマーサクセス、マーケティングどちらの分野でも用いられるノウハウではありますが、本来、カスタマージャーニーの全体像にはマーケティング、カスタマーサクセスどちらの領域も含まれるため、ひとつのカスタマージャーニーを共有し、横断的に協力するのが理想的と言えるでしょう。

カスタマーサクセスにマーケティング視点を取り入れる際のポイント

ここまで紹介したマーケティング的な視点を、カスタマーサクセスが実際に取り入れるためにはどのような点が重要なのでしょうか。

マーケティングのスキルセットを持った人材を起用

カスタマーサクセスは比較的新しい部門として設立されることが多いでしょう。そのため、既存の従業員がカスタマーサクセスに異動することが現状では一般的です。つまり、今段階ではカスタマーサクセスのスキルセットは、カスタマーサポート、営業、コンサルティングなどが挙げられます。

しかし、前述のとおり、もう一歩先進的なカスタマーサクセスを実現させるためには、やはりマーケティング経験のある人材を登用するのがポイントです。

特に重視したいのが、コミュニケーション設計やCRM(顧客関係管理)、MAツールの利用といったノウハウです。

この分野の経験を豊富に持っている人材であれば、スムーズにマーケティング視点を取り入れることができるでしょう。

横断的な視点

リテンションマーケティングやカスタマージャーニーのように、マーケティングとカスタマーサクセスが視点を共有することは双方に大きな意味を持ちますが、これを効果的に実現するには、部門を横断して俯瞰する視点が重要になってきます。

事業の目標や達成までの計画からブレイクダウンした一連の顧客体験の設計、そしてそれを実現するためのカスタマーサクセス、マーケティングをはじめとした各部署の役割分担や協力の仕方などを、事業企画や経営のレベルで具体的に設計できていることが理想的な状態と言えます。

部署レベルで実現するには難しいポイントでもありますが、間違いなく事業全体の成果を向上することに繋がるでしょう。

カスタマーサクセスツールの利用

顧客のセグメンテーションが重要であることは前述の通りですが、その精度をさらに高める方法として、カスタマーサクセスツールの導入が挙げられます。

カスタマーサクセスツールでは、顧客の状態を可視化したり、顧客に必要な情報(コンテンツ)を適切に提供したりすることが可能となりますが、さらにMAやSFAと連携する機能も備えているものもあります。

これによって、従来の属性別のセグメンテーションに加えて、利用状況での顧客分類も可能になるため、より精度が高く、パーソナライズされたコミュニケーションを取れるようになるのです。

まとめ

今回は、カスタマーサクセスにマーケティング視点を取り入れることの重要性について解説しました。

カスタマーサクセスでは支援の仕方によって必要な考え方が異なり、中でも複数への同時支援の多いロータッチでは、効率を高めながらも、顧客にとって価値のある体験を届けることが焦点になります。その際に、マーケティングでの顧客管理やコミュニケーションのノウハウが役に立つのです。

実際にその視点を取り入れるにあたっては、マーケティングのスキルセットを持った人材の登用、部署を横断して協力できるような体制づくりなどが重要になります。

カスタマーサクセスとマーケティングが適切に連携することができれば、間違いなく双方に大きなメリットをもたらすことでしょう。

カスタマーサクセスとマーケティングの連携方法に関しては、こちらのEbookでも詳しく解説しています。カスタマーサクセスの重要性を深く理解したマーケターが理想のカスタマ―サクセス像を解説しています。是非ご一読ください。

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Topics: カスタマーサクセス, マーケティング

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