カスタマーサクセスがこれから行うべき施策 12選

  • 公開日:2022年4月16日(土)

カスタマーサクセスにとって、顧客の成功という目標はどの組織においても共通していますが、それを実現するための方法はさまざまで、最適解は存在しないという現実があります。特に立ち上げから間もないカスタマーサクセスにとっては、具体的にどのような施策をとるべきか分からないという場合もあるでしょう。

今回は、顧客の成功を実現するためにカスタマーサクセスが行うべき施策について、事前設計から実際の支援まで、フェーズごとに重要なものを合計12個紹介します。

カスタマーサクセスの施策に必要な考え方

はじめに、カスタマーサクセスが施策を検討する際に理解しておくべき基本的な考え方について解説します。

顧客の成功を第一に考える

言うまでもなく、カスタマーサクセスが最優先で考えるべきことは顧客の成功です。そして、個々の施策はそのために必要な取り組みでなければ意味がありません。

顧客がサービスを通じて何を実現したいか、そのためにどのような状態が必要で、どんな支援が効果的なのかという観点から逆算することで、的確な施策の設計が可能になります。

一般的な内容や他社のベストプラクティスなどを参考にしつつ、自社の顧客にとって意味のある施策になるよう、柔軟な考え方で内容を決めましょう。

KPIや数値目標を設定する

施策に効果があったかどうかを検証するためには、数字を用いて目に見えるかたちで評価する必要があります。

NRR(売上継続率)を中心に、解約率、アップセル・クロスセルなどの収益に直結するKPIを定期的にチェックするのはもちろん、NPS(ネット・プロモーター・スコア)や顧客満足度、活用率なども、施策の効果を反映する指標として有用です。半年や年単位で施策を行なってもこれらが改善しなければ、内容を見直す必要があるかもしれません。

なお、カスタマーサクセスのKPIについては、以下の記事でより詳しく紹介していますので、そちらも併せてご覧ください。

【参考記事】カスタマーサクセスのKPIにはどんなものがある?フェーズごとに重要な指標も解説

施策は常にブラッシュアップする

組織の拡大や顧客の質・量の変化など、状況に応じて施策も常にブラッシュアップする必要があります。先に述べた顧客の成功、そこから逆算される体験を軸にして、各施策の内容、特にコミュニケーションの仕方、インプットする情報などをより良いものにしましょう。

また、効率の観点も忘れてはいけません。ツールの導入や機能開発によって価値を損なわずに自動化できる部分があれば、積極的に進めましょう。これによって、リソースを最適化し、人の手により支援・施策により注力することも可能になります。

カスタマーサクセスが打つべき12の施策

基本的な考え方を理解した上で、具体的な施策を見ていきましょう。フェーズごとに時系列で紹介します。

チーム・組織の編成

施策1:チームの編成

カスタマーサクセスがまず行うべきなのがチーム編成です。この際、支援ごとに必要なスキルは異なるため、それぞれに適切なメンバーをアサインすることが重要です。

例えば、顧客体験やコミュニケーションの設計はマーケティング、顧客へのフォローは営業やカスタマーサポート、顧客への提案や契約更新などはコンサルといったように、相性の良いバックグラウンドを持つ人材が担当することで、効果的な施策を実現することにつながります。

施策2:他部署との連携

顧客の成功を考えれば、カスタマーサクセスが他部署と連携することも重要な施策のひとつと言えます。

顧客の不満を解消するカスタマーサポート、要望をプロダクトに反映するための開発に加えて、既存顧客へのリテンションを中心に、カスタマーサクセスと非常に親和性の高い取り組みを行うマーケティング部門などとは常に情報交換を行い、共通のカスタマージャーニーに基づいて顧客との関係を管理しましょう。

支援の設計

施策3:顧客の分類・ペルソナの把握

支援を設計していくうえでまず行うべきことが、ペルソナの把握と顧客の分類です。顧客の業界、契約規模、担当者のレベルなどの属性、サービスの利用フェーズなどをもとに、いくつかのペルソナ(顧客像)を想定、それぞれのニーズや活用の課題などを把握し、適切な支援を見極めます。

その上で、各顧客を分類に当てはめていけば、それぞれに対してある程度パーソナライズされた支援の提供が可能になります。

施策4:カスタマージャーニー設計

顧客のペルソナの把握や分類の次は、カスタマージャーニーの設計を行います。オンボーディングから運用、契約更新まで、顧客が体験する一連のプロセスを整理しましょう。

それぞれのポイントにおいて、想定される顧客の状態や見るべきKPI、対応策をプロットしておくことで、行うべき施策の整理はもちろん、チームや部署内で支援の共通化や可視化も実現できます。

施策5:KPI設計

KPIについてもう少し詳しく考えてみましょう。カスタマージャーニーの各プロセスで見るべき指標については、オンボーディングにおいては初期設定の完了率、運用では、各機能の利用率やログイン率に加えて、それらを組み合わせたヘルススコアを活用するのが良いでしょう。また、顧客体験全体を反映するような指標として、NPSや顧客満足度も定期的に確認します。

この際、KPI自体の設計に加えて、データソースや処理方法も整理しておき、いつでもKPIの分析が可能な仕組みを作っておくことも重要です。

施策6:コミュニケーション設計

それぞれの顧客に対してどのようにコミュニケーションを行うかも考えておくべきポイントです。

コミュニケーションチャネルとしては、対面や電話、メールの他に、チャットやサービス内でのメッセージなどが考えられます。また、連絡を行う頻度と内容についても顧客ごとに異なります。

先に述べた顧客分類、あるいはタッチモデルでの分類ごとに、それぞれ利用するチャネルや頻度、内容などをあらかじめ設計しておくことでスムーズなコミュニケーションが行えるでしょう。

オンボーディング

施策7:教育コンテンツ提供

操作に慣れ、サービスを使いこなしてもらうための教育は、オンボーディングだけでなく、運用フェーズにおいても不可欠な内容です。

操作方法や機能紹介、活用事例などの各情報をインプットして、顧客がサービスを使い始めてから直面する問題をあらかじめ解消しておきます。

また、この際にチュートリアルやQ&Aを整備しておけば、顧客が自発的に学習を行うセルフサービス環境の構築にも繋がるでしょう。

施策8:定期MTG

コンテンツのインプットで活用度が上がらない顧客や、対面での支援を行うハイタッチ層の顧客を中心に、定期的なMTGなどを開催して活用のフォローアップも行いましょう。

活用状況を振り返りながら、ボトルネックになっている点を把握してピンポイントで支援を策定したり、新機能について操作方法の紹介や活用方法の提案などを行います。

アダプション・運用

施策9:アンケートの実施

個々の施策を含めて、支援全体がうまくいっているかを把握するために、定期的にNPSを中心としたアンケートを実施します。サービスを他者におすすめする度合いを回答するNPSは、顧客ロイヤルティを測るのに最適な内容と言えます。

個々の機能の活用度やログイン状況、ヘルススコアなどとあわせて、支援の改善に役立てましょう。

施策10:プロダクトへのフィードバック

カスタマーサクセス担当者の支援とは別に、プロダクト自体の質も顧客の成功を左右する重要な点です。アンケートの定性コメントや顧客とのコミュニケーションから吸い上げた要望については、必ず開発部門にフィードバックしましょう。

直接的な支援だけでなく、顧客の成功のために必要な改善を社内に働きかけて推進するのもカスタマーサクセスの役割と言えます。

契約更新

施策11:取り組みの評価

契約更新のタイミング、あるいは四半期や一年ごとに、これまでの取り組みの評価を顧客とともに実施します。

顧客のゴールがどの程度達成されたかを活用率とあわせて確認し、今後の活用のための改善案やより大きな目標のための機能の提案を行い、契約更新、アップセル・クロスセルの実現を目指します。

施策12:ユーザーコミュニティの構築

契約更新やアップセル・クロスセルを行った高ロイヤルティの顧客を中心に、ユーザー同士が繋がるコミュニティの構築を進めるのも有用な取り組みです。

成功した顧客の取り組みをベストプラクティスとして共有したり、ユーザー会を開催して登壇してもらうことができれば、他顧客への支援やマーケティングにも効果が期待できます。

また、ユーザー同士が自発的にノウハウをやりとりして理解を深めることで、長期的にユーザー主導のカスタマーサクセスの実現にも繋がるでしょう。

まとめ

ここまで、カスタマーサクセスの施策について解説しました。組織や企業によって行うべき施策は様々ですが、あくまで顧客の成功とそこから逆算した顧客体験を軸にして最適な内容を作り上げることが重要です。

立ち上げから間もないチームであれば、今回紹介した各プロセスで行うべき12の施策をベースに基本的な支援の土台を作り上げることをおすすめします。

すでに支援を数多く行っている場合には、この機会に施策の振り返りや見直しをして、より良い施策を実現できるよう改善していきましょう。

Topics: カスタマーサクセス

新規CTA
新規CTA

最新記事