openpage代表取締役の藤島です。弊社openpageは大手企業様からセールスのテクノロジー化、デジタル化を相談される機会が多くあります。この記事では「デジタルセールス」とは何か教えてほしいとお話をいただきましたので、解説いたします。
デジタルセールスとは何か?
「デジタルセールス」のワード、私も検索で調べてみたのですが、正直な印象としては、SEO用に書かれた記事を、他ライターが更にコピーして書き足して…を色々な会社がやりまくっている状態なのかな、と思います。そのため、少しデジタルセールスの定義にばらつきや抽象度がある様子でした。
デジタルセールスの記事を見る限りは
1,SFAなど営業ツールを活用した営業活動を「デジタルセールス」と呼ぶ
2,インサイドセールス活動を「デジタルセールス」と呼ぶ
としている記事が多くありました。
米国のデジタルセールスは「デジタル(チャネル)セールス」である
もちろん、これらも間違いではないのですが、米国で用いられる「デジタルセールス」の言葉を解釈のズレがある(おそらく、日本の記事が若干間違っている)ように思えました。
「デジタルセールス」は、営業活動におけるDX(デジタル・トランスフォーメーション)をどう捉えるかによって解釈が変わると思うのですが、米国で用いられるデジタルセールスとは、「デジタル(チャネル)セールス」です。
デジタルチャネルとは、例えば、自社サイト、SNS、レビューサイト、DSR(デジタルセールスルーム)など、WEBからアクセスできるものです。
デジタルセールスとは、これらのチャネルを使って営業案内をする、デジタルチャネル営業なのです。
営業活動の顧客接点がデジタルに変革されるからこそ、営業DX(デジタル・トランスフォーメーション)なのであり、営業における社内業務に少しばかりITを使っています、というのは、本流のデジタルセールスの定義と少し異なるのです。
自社サイトを活用したデジタルセールス
WEBサイトはMAのブームから各社フォーム設置型のサイトを用意するのが当たり前になっており、昔からある慣れ親しんだデジタルセールスのチャネルです。
このサイトの中で営業的に行う案内を入れ込むというデジタルセールスのやり方もありますが、最新の米国のトレンドは、サイト上でデモ体験や、リアルタイムの営業応答です。日本ではPLAINER 、immedioといったサービスが該当します。米国のサイトはこれらのツールがサイトに組み込まれて、デモ案内や商談設定などを自動化する(セールスのデジタルチャネル化=デジタルセールス)ことをしています。
また、日本では「インテントセールス」を謳っているセールスマーカーが、IPアドレスから自社を検索している企業情報を判別するということをしており、フォーム入力がなくても見込み顧客を見つけることを可能にしています。デジタル上の検索顧客の発見からメールアプローチまで完結するので、こちらもデジタルセールスでしょう。
ただ、あれこれ用意しても、そもそもサイトに人が来ないと意味がありません。少し話題がそれますが、サイト集客の本質は、ツールというよりは「コンテンツ」にあると私は考えています。
コンテンツマーケティングという言葉がありますが、本質的には仕事の役に立つから顧客はサイトを見に来るわけです。役に立つ情報を充実させて、見る意義のあるサイトにしていかなければ、そもそもサイトにあれこれ組み込んでも効果は出ません。まずは情報の専門化、リッチ化をするべきだと思います。ブログやホワイトペーパーなどの充実です。
営業で言えば「よく相談される営業担当になる」に近い話です。これをデジタルのセールスで代替すると考えると、よく見に行って仕事の参考になるサイトになるということをしないといけません。営業が「定期的に顧客にGIVEする」、「お役立ち情報を渡す」なんて言いますが、それをWEBサイトで行うことが、デジタルセールスであるとも言えます。
まとめると、営業が普段行っている、製品プレゼン、相談を受ける、定期的に役立ち情報をGIVEする。これらの営業活動をデジタルチャネルで置き換える。デジタル変革する。これが自社サイトによる「デジタルセールス」なわけです。
SNSを活用したデジタルセールス
SNSは米国でも流行しており、日本と顕著に違うのは、米国はLinkedInを使う文化があり、LinkedInのプロフィール入力と、LinkedInでの投稿がビジネスマンの中で活発であることです。
その前提で、LinkedInの有料プランを使い、LinkedIn上でセールスメッセージを送って商談を獲得するということをしています。これがSNSによるデジタルセールスのわかりやすいイメージです。
日本ではLinkedInが米国ほどは流行っていないため、デジタルセールスで使うチャネルはTwitter(X)になるでしょう。ミレニアル世代はXを見て、仕事の情報収集をする人は多く、ビジネスマン同士で繋がったり、SNSで仕事の投稿をしたりという文化があります。
ただ、米国のLinkedInで行うようなデジタルセールスをかまして、直接的な営業メッセージをXで飛ばしても、無視されるかブロックされるでしょう。Xはあくまで投稿をしあって横で繋がるチャネルです。日頃この人の投稿をよく見てるな、いいね押してるな、という人からじゃないと、メッセージが来てもそもそも反応しないのです。
ですので、日頃の投稿として、有料級の役に立つ情報発信を日常していて、いいねやリツイートもしあっている。そんな関係をフォロワーと継続的に行い、信用を獲得している中で、たまに製品の宣伝をさせてくれ、くらいの温度感がSNSで行うべきデジタルセールスだと思います。
いきなり宣伝メッセをバシバシ飛ばすのはマナー違反で下手したらスパム判定になります。「悪いデジタルセールス」「嫌われるデジタルセールス」になりますので、SNSにおいては日頃の信用醸成が必要です。
レビュー(口コミ)サイトによるデジタルセールス
海外ではレビューサイトが日本以上に充実しており、BtoB取引でもレビューサイトを見る文化があります。このレビューを充実させて、顧客にセールスしてもらう「デジタルセールス」という考え方もあります。
日本だとITreviewがビジネス向けのソフトウェアを購買する際のレビューサイトとして標準的になってきています。最近では専門のレビューサイトだけでなく、Googleも会社の口コミもまとめるようになりました。
口コミなのでコントロールは難しいですが、日頃の会社の行いを良くして、言い口コミをもらう努力は必要でしょう。いい製品、いい会社じゃないと悪く書かれるリスクが年々高まっていくでしょう。先ほど、SNSでの悪いデジタルセールスをしてしまう話~など、倫理観のない営業をする会社が悪く書かれてしまいます。
米国のレビューサイトでは、デジタルセールスの観点だと、資料や画面の掲載、実名投稿の強調、問い合わせ先の掲載など、営業に繋げられるような事ができます。日本でも自社の商材に関するようなレビューサイトがもしあれば、サイトの情報をリッチにしたり、既存のお客様にレビューを依頼したりという手もあるでしょう。
DSR(デジタルセールスルーム)によるデジタルセールス
サイトやSNSなどの話しはマーケティングに話題も近くなるのですが、よりピュアにセールスに特化したデジタルチャネルが「DSR(デジタルセールスルーム)」です。
DSR(デジタルセールスルーム)は、営業担当の顧客向けの提案サイトさくっと手元で作れるという製品です。言葉とおり「デジタルセールス」ができるツールがデジタルセールスルームなのですが、「ルーム」というのが独特な表現です。
これはデジタル上に、営業担当と顧客担当とが双方で参照できる情報を置いたサイト(部屋)を作るという意味を指しています。
デジタルセールスルームには、提案内容、ヒアリングしたこと、お願いしたいtodoなどをまとめます。顧客と共有し、一緒に見て案件を進める使い方をします。
お客様の話をヒアリングして、この提案の方向で合ってますか?をデジタルセールスルーム上ですり合わせながら、商談成功率を上げるものになっています。
営業の話す内容やアクションがデジタルになっている、という意味でデジタルセールスを実現しています。デジタル上でまとまった提案は、どの会社が視聴しているのかデータログを見ることができるので、これを活用して更に成約率を高めるのに活用します。
参考記事
DSR(デジタルセールスルーム) 製品としてのopenpageーDSRとは何か?
DSR(デジタルセールスルーム)3つの特徴とopenpageで実現するデジタル営業
デジタルセールスのまとめ
デジタルセールスはデジタルチャネルのセールスである、ということがイメージいただけたと思います。
人が口頭で話しているような内容がデジタルチャネルに乗っかっているか。
「デジタルチャネル上の営業情報量」がデジタルセールスのKPIになるでしょう。
・営業が話さなくても顧客に伝わるので成約率や単価などが上がる
・デジタルチャネルなので、顧客のデータが詳細に取れる
などのメリットがデジタルセールスにはあるので、ぜひ強化していきましょう。
なお、弊社openpageはデジタルセールスルームのベンダーですので、もしツールにご興味がある方はお問い合わせください。