カスタマーサクセスと言えば、これまではToBのSaaS領域における取り組みと考えられてきましたが、実は小売やECにおいてもシェアが拡大しています。
特にECは、SaaS業界が取り組む以前からLTVを重視した経営が行われており、親和性が高い分野でもあります。
では、EC企業におけるカスタマーサクセスとはいったいどのようなものなのでしょうか。メリットや具体的な取り組みのポイントまで、詳しく解説します。
EC企業がカスタマーサクセスに取り組むべき理由とは?
小売/ECにもカスタマーサクセス導入の流れが
ここ数年、小売やEC分野におけるカスタマーサクセスのシェアが拡大しています。
もともとEC企業では、CRM活動やデジタルマーケティングの一環として、顧客に複数回購入や定期購入を促してLTVを高める施策がさかんに行われていました。
そして、近年ではそこにLTV向上の効果が期待できるカスタマーサクセスのノウハウを取り入れて統合する動きがさかんになってきています。
業界全体で、単なるリピーターへの割引やキャッシュバックなどに止まらず、より良いデジタル体験を通じて「商品やブランドの価値を顧客に伝える」方向へと変わってきているのです。
ECがカスタマーサクセスに取り組むメリット
EC企業がカスタマーサクセスに取り組むと、さまざまなメリットが得られます。
施策によって効果は異なるものの、おもに以下のような効果が期待できるでしょう。
- 顧客単価の向上
→初回購入額、平均購入額の向上
- 顧客ロイヤルティの向上
→購入回数、満足度の向上
- ブランド価値向上
→顧客のファン化、SNS上での影響力増加
こうした効果を通じて、中長期的にLTVや収益性の向上へとつながっていきます。
また、アメリカでは「顧客がECを利用するうえでカスタマーサービスを重視している」「多くのECにおけるカスタマーサービスに顧客は満足していない」というデータもあり、より良いカスタマーサービスが求められているという背景にも注目すべきでしょう。
ECの市場規模はますます拡大しており、今からカスタマーサクセスに取り組んで他社に先んじることができれば、大きな効果が期待できます。
EC企業がカスタマーサクセスに取り組むための5つのポイント
では、実際にEC企業がカスタマーサクセスを始めるとしたらどんな取り組みをすれば良いのでしょうか。重視すべき5つのポイントを紹介します。
顧客体験の最適化
ToBでもToCでも、カスタマーサクセスにおいてもっとも重要なのは「顧客のことを理解し、最適な体験を提供する」ということです。
まず取り組むべきは、顧客体験の不満を特定し、マイナスを解消していくこと。
サイト/アプリ/LINEやSNSを通じて顧客に満足度のアンケートを送ったり、ヘルプへの問い合わせ内容を分析して、顧客がどこに不満を持っているかを特定し、改善していくサイクルを作り上げる必要があります。
そのうえで、顧客体験のパーソナライズでプラスを創出するのも効果的です。
購買履歴やサイトやアプリでの行動履歴を通じて顧客をニーズ別にいくつかのセグメントに分類し、それぞれにパーソナライズした商品提案を行えれば、購入回数や単価の向上が期待できるでしょう。
単に新規顧客かリピーターかではなく、購入する商品のカテゴリや価格帯などをもとにセグメントの解像度を高められれば、その分効果が大きくなります。
マルチチャネルでのコミュニケーション
良い顧客体験を提供するためには、顧客との接点を増やすことも重要になってきます。
顧客によって使うコミュニケーションツールは異なります。サイトやアプリ上でのコミュニケーションを好む顧客もいれば、TwitterやInstagramなどのSNSやLINEを好む顧客もいます。
顧客が利用しないツールでタッチしようとしても、そもそも認識すらされない可能性もあることを考えれば、選択肢を多く提供できるに越したことはありません。
サイトやアプリでのサポートは当然として、各種SNSにおける情報発信やヘルプ体制をしっかり整備したうえで、購買時に導線を用意して認知度を高めましょう。
加えて、SNSアカウントの運用は顧客を巻き込んだコミュニケーションの創出やファン獲得、それらを通じたマーケティング効果も期待できるため、ブランディング施策としても有効です。
セルフサービス環境の整備
実は多くの顧客は、簡単な対応であれば人によるカスタマーサービスよりもガイドに沿って自分で解決するセルフサービスを好んでいます。特に日本では、問い合わせに抵抗のある顧客も多くその傾向が顕著です。
ナレッジベースやFAQ、ヘルプコンテンツを整備して、サイトやアプリからの導線を整備すれば、困ったらまずは自分で調べて解決するという流れができます。
人による対応と組み合わせれば、顧客のニーズにあわせた対応が可能になり、顧客満足度が高まるほか、人による対応にかかるコストの削減にもつながります。
データ分析
ECにおけるデータ分析といえばPVやCVRなどが一般的ですが、カスタマーサクセスの目線でいえば、それに加えて顧客行動をより深く分析する必要があります。
購買履歴(単価、回数、商品カテゴリ)、サイト/アプリ上での行動、ヘルプコンテンツの視聴状況などをデータで追って、それぞれの顧客のニーズや購買におけるボトルネックを正確に把握しましょう。
そうしたデータをもとに顧客セグメントごとの商品提案の内容を改善したり、コミュニケーションやサイト/アプリ設計に反映することができれば、顧客体験の向上、そしてLTVの最大化につながります。
CSツール導入
ここまで挙げた施策を始めるにあたって、個別に環境を整備して運用すると膨大なリソースが必要になり、情報が分散されてしまうリスクもあるため、カスタマーサクセスツールを導入して効率よく進めるのが良いでしょう。
顧客対応状況の管理、行動データ分析、CMS機能、さらにはチャットボットによる自動対応など機能は幅広く、ツールによって内容も異なるため、まずは自社の施策に合わせて必要十分なものを選ぶのが重要です。
なお、openpageはECサイトに組み込んでFAQ、ヘルプコンテンツを簡単に整備できるため、セルフサービス環境を整備するのにうってつけです。
まとめ
SaaS以前からLTVを重視して経営を行ってきたEC企業は、カスタマーサクセスとの親和性が高く、取り組むメリットがいくつもあります。従来のリピーター施策以上に顧客のロイヤルティを向上し、LTVを最大化することにつながるでしょう。
実際の取り組みにおいては、より良い顧客体験を提供することに焦点を当てて活動するのが重要です。なお、これからカスタマーサクセスに取り組むなら、ツールを導入して始めるのが効率的。openpageはECサイトに組み込んでセルフサービス環境を構築するのに最適です。