はじめに
営業シーンで「バイヤーイネーブルメント」という言葉が流行っています。バイヤーとは営業の相手である「購買担当者」を指します。つまり、営業の受け手側のことです。
「セールスイネーブルメント」は話に聞いたことがあるという人は多いですが、「バイヤーイネーブルメント」はなんだ?と思う人も少なくないでしょう。購買担当者の支援ってなんだ?と不思議に感じるかもしれません。
しかし、バイヤーイネーブルメントは営業成績を大きく変えるチャンスなのです。顧客起点の営業に刷新できる手法だからです。openpageはデジタルセールスルーム(DSR)を通じて、複数の企業の営業組織のバイヤーイネーブルメントの実現を形にしてきました。
本記事では、バイヤーイネーブルメントの考え方や定義、導入プロセス、実践方法を解説します。ぜひ最後までお読みください。
バイヤーイネーブルメントとは
バイヤーイネーブルメントとは、顧客の購買プロセスを理解し、購買担当者を支援する営業アプローチのことを指します。従来の営業は自社の製品やサービスの価値を一方的に伝えることに注力しがちでしたが、バイヤーイネーブルメントでは顧客側の視点に立ち、購買担当者の意思決定や社内での調整をサポートすることに重きを置きます。
顧客企業では、発注の意思決定において複数人で議論しながら調整するプロセスが必ず入ります。そのため時間がかかったり、検討途中で頓挫したりすることもあるのです。営業担当は提案で努力しますが、購買担当者も社内での説得や調整、反論への対応や予算の確認などで努力しなければなりません。
この購買担当者の苦労に寄り添い、サポートしていくのがバイヤーイネーブルメントの本質です。言い換えれば、購買を支援するために、顧客側に「武器」を渡してあげるという考え方です。
バイヤーイネーブルメントの導入と実践方法 - ステップ1:顧客の購買プロセスを推測する
バイヤーイネーブルメント導入の第一歩は、顧客の購買プロセスを推測することです。会社として何かを発注するときに、どのような手順を踏むのでしょうか。誰にどんな説明が必要で、どれだけの時間がかかるのでしょうか。
過去の購買稟議の中で成功した事例と失敗した事例を洗い出し、失敗したならどのような点が障壁になっていたのかを分析します。このような購買プロセスの具体を推測しながら、言語化していくのです。スプレッドシートなどを活用してまとめていくのがおすすめです。
営業でもプロセス管理をしている組織は多いですが、顧客の購買にもプロセスや段取りがあります。各段階でどのような説得や検討が必要で、工程における障壁やハードルは何かを整理して、顧客の視点を理解することがバイヤーイネーブルメントにおいて重要です。
バイヤーイネーブルメントの導入と実践方法 -ステップ2:購買担当のペルソナを仮説立てする
顧客の購買プロセスには、複数人が関わります。取引単価が高くなればなるほど、関わる人数が多くなる傾向にあります。また、関与の度合いにも差が出てきます。
主担当が窓口に立ちながら、上長や役職者、チーム内外の人に調整するということが一般的です。この関係者の中で特に関わることになる人をペルソナとして言語化しておくべきです。
営業で相対する相手の中で重要な人をペルソナとして仮説を立てておくことで、この人にどんな支援をすれば社内で調整しやすくなるのかのヒントが見えやすくなります。
購買担当者のペルソナを考えるうえでは、以下のような点に着目します。
- どんな会社のどの部門で、どんな役割の人か
- 普段の業務は何で、業務目標や重視する数値は何か
- 1日のスケジュールはどうしているか
- 営業しようとしている製品サービスの理解度や習熟度、この領域の知識や経験
顧客が購買を進められるためにはどう支援すればよいのか。そのためには顧客の十分な理解が求められます。
バイヤーイネーブルメントの導入と実践方法 -ステップ3:インタビューで仮説を検証する
顧客の購買プロセスやペルソナを仮説として整理したら、その後はインタビューです。どんなに綺麗に整理しても、あくまで仮説に過ぎません。
ワークショップでの付箋やPowerPoint・スプレッドシートでジャーニーやペルソナを社内整理するシーンはよくありますが、ただ自社で考えるだけでは自己満足になってしまいます。考えたことが実際に現実なのか、顧客に直接向き合って検証しにいかなければ意味がないのです。
そこで、社内で考えた顧客の購買プロセスやペルソナが実際に正しいのかを確かめるために、インタビューを実施します。過去に発注経験がある人に、実際に社内でどのように検討し、何かを発注するときにどんなプロセスを経て実現できたのかをヒアリングするのです。
その中で関わる人や留意点、賛成派と反対派、購買成功のキーポイントなどを入念に聞いていきましょう。「この点はこう思っていたが実際はどうか?」と用意した仮説をもとにヒアリングしながら、考えが及ばなかった点がないかも顧客の発言から学習していくのです。
こうして、事前に用意した仮説を、より現実的なものにブラッシュアップしていきます。
バイヤーイネーブルメントの導入と実践方法 -ステップ4:バイヤージャーニーを作成する
顧客から生の声を得た後は、バイヤージャーニーとして整理していきます。バイヤージャーニーとは、購買担当者が具体的に購買を進めるうえでのプロセスと、そのプロセス上での体験や障壁をまとめたものです。
インタビューにもとづくバイヤージャーニーの整理により、バイヤーイネーブルメントとしてどんなアプローチをするべきかの論点が明確になります。
バイヤージャーニー作成は自社で行うこともできますが、仮説立てからヒアリング、資料作成までやりきるのは容易ではありません。openpageでは有償でこのバイヤージャーニー作成のワークショップやコンサルティングを行っています。
バイヤーイネーブルメントの導入と実践方法 -ステップ5:バイヤージャーニーに合わせた情報設計をする
バイヤージャーニーが整理できたら、顧客がどのプロセスでどう躓くのかがわかってきます。そのプロセスを前に進めるために、どんな武器を渡せばいいかが見えてくるのです。
購買プロセスを前に進めにくい理由としては、顧客社内で反対する人がいる、その反論に答えられない、自分自身もこの製品サービスの推進に自信がないというようなことが考えられます。
そこで、関係者に説得するためにどのような専門情報や考え方、ロジックや段取りが必要なのかを整理し、それを営業担当を介しながら渡していく必要があります。
説得のための情報はドキュメントに整理して渡す方法もありますが、せっかく営業担当がいるのだから、顧客と会話しながら、顧客の実情に合わせた話をして、その会話内容を議事録として渡してあげるのが最も効果的でしょう。
顧客自身も良い取り組みは自社で導入したいと思っていますが、どのように社内に説明し、調整すればいいのか悩んでいるはずです。その悩みにヒアリングやディスカッションをしながら応え、「こういう進め方であれば社内も賛成してくれるのでは?」と営業が個別で情報提供をしてあげるのです。
私たちopenpageはその営業担当の個別の情報提供をするためのツールである、デジタルセールスルーム(DSR)を展開しています。ツールを導入するのであれば、デジタルセールスルーム上で顧客が社内説明しやすいロジックや進め方の段取り、専門的な情報などを共有するとバイヤーイネーブルメントが成功しやすくなります。
バイヤーイネーブルメントの導入と実践方法 -ステップ6:営業組織の商談方法を改善する
バイヤーイネーブルメントの考え方は、営業担当が顧客の購買を支援するというスタイルに変えていくことです。商談の内容、商談後のネクストアクションや情報提供のあり方も、顧客起点に調整していく必要があります。
これまでに整理したバイヤージャーニーや、目の前の顧客とのディスカッションを通じて、営業が顧客の購買に伴走していけるようなスタイルに営業のやり方を変革していくのです。
従来の営業マネジメントはSFAによる数値目標のマネジメントや、リクルート流のヨミ表の管理で、目標やヨミに対してどれだけ数値が不足しているかを管理するものでした。
しかし、自社の目標や数値だけを意識し続けると、「営業担当の◯◯さんは、数字がX件足りないので、達成できるようにしろ」という社内目線が強くなりすぎてしまいます。顧客としてはどのように社内に説得しようかと悩んでいるのに、営業側の数値の状況など知ったこっちゃないのです。
もちろん営業数値の達成は重要ですが、それを突っつくだけでは成果は上がりません。顧客が購買を進められるようにこんな情報提供をしよう、こんな商談をしてこんな話をしよう、とより一歩踏み込んだ営業組織に変えていくべきなのです。
営業マネージャーにもバイヤーイネーブルメントを理解してもらい、顧客起点の営業スタイルに変えていくことで、結果的に営業数値が上がっていきます。openpageではデジタルセールスルーム(DSR)を使ってバイヤーイネーブルメントを成功させることで、取引単価を2倍に向上したり、受注率を15%改善したりという結果が出ています。
まとめ
本記事ではバイヤーイネーブルメントについて解説してきました。バイヤーイネーブルメントは効果が高く、顧客起点の営業を実現できるアプローチです。
openpageはバイヤーイネーブルメントを実現するノウハウを持っており、デジタルセールスルーム(DSR)はバイヤーイネーブルメントを体現できるツールとして機能します。営業成績の大幅な向上を実現し、本質的な営業を実現できるのです。
バイヤーイネーブルメントの導入をするならば、ぜひopenpageのデジタルセールスルーム(DSR)の利用を検討してみてください。詳しい資料は無料で提供しておりますので、お気軽にお問い合わせください。
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