「御社の提案は、当社の課題を的確に捉えていました。ぜひ一緒にビジネスをさせてください」
営業マンにとって、顧客からこう言われるのは何よりの喜びでしょう。
しかし、顧客の心をつかむ提案を行うのは、そう簡単なことではありません。
顧客の抱える課題は十人十色。その本質を見抜き、最適な解決策を示すことが求められるのです。
こうした顧客視点に立った営業手法は「インサイトセリング」と呼ばれ、近年大きな注目を集めています。
インサイトセリングとは、顧客の深層心理や無意識のニーズを理解し、それを基に課題解決に導く手法です。
従来の営業が「モノ売り」だとすれば、インサイトセリングは「コト売り」とも言えるでしょう。
製品・サービスの機能訴求よりも、顧客の抱える課題にフォーカスし、その解決策を提示することに重きを置くのです。
それでは、インサイトセリングを実践するには、どのようなことが求められるのでしょうか。
この記事では、インサイトセリングの考え方や進め方を解説します。
加えて、デジタルセールスプラットフォーム「openpage」の活用方法もお伝えしますので、ぜひ最後までお付き合いください。
なぜ今、インサイトセリングが注目されるのか?
顧客志向の営業手法として注目を集めるインサイトセリング。
なぜ今、インサイトセリングが重要視されるようになったのでしょうか。
その背景には、大きく以下の3つの変化があると言われています。
- 顧客ニーズの多様化と高度化
- 競合他社との差別化難易度の上昇
- 営業プロセスにおけるオンラインの浸透
1つずつ見ていきましょう。
顧客ニーズの多様化と高度化
近年、顧客ニーズは大きく多様化しています。
従来の「コスト削減」「業務効率化」といったニーズに加え、「イノベーションの創出」「新規事業の立ち上げ」など、より strategic な課題解決を求める声が増えているのです。
また、顧客の業界知識や IT リテラシーも向上しています。
曖昧な説明では通用せず、より高度な提案が求められる時代と言えるでしょう。
こうしたニーズの多様化と高度化を受け、画一的な提案では顧客の心に響かなくなってきました。
個々の顧客が抱える固有の課題に向き合い、真摯に解決策を探る姿勢が問われているのです。
競合他社との差別化難易度の上昇
また、製品・サービスによる差別化も難しくなりつつあります。
機能や価格だけを見れば、どの企業も大差ないというケースが増えているのです。
実際、ある調査では、営業マネージャーの74%が「競合他社との差別化が非常に難しい」と回答しています。
「他社より少しでも安く」といった従来型の戦略では、もはや限界があると言えるでしょう。
そこで重要になるのが、顧客との関係性による差別化です。
顧客の立場で課題を捉え、リソースを総動員して解決策を模索する。
そんな顧客目線のサービス精神こそが、他社にない強みになり得るのです。
営業プロセスにおけるオンラインの浸透
加えて、営業プロセスにおけるオンラインの浸透も、インサイトセリング重要視の背景にあります。
コロナ禍を機に、リモート営業が当たり前になりつつあります。
対面での細かいニュアンスを感じ取ることが難しくなった今、顧客の心理を理解することがより一層重要になっているのです。
アフターコロナを見据えても、オンライン営業の重要性は揺るぎません。
だからこそ、限られた接点の中で、いかに顧客の本音に迫れるか。
そこが、これからの営業マンに問われる力と言えるでしょう。
インサイトセリングを実践する3つのステップ
ここからは、インサイトセリングの実践方法を具体的に見ていきましょう。
大きく以下の3つのステップに分けて解説します。
- 徹底的なリサーチ
- 顧客インサイトの深掘り
- 解決策の提示
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
ステップ1:徹底的なリサーチ
インサイトセリングの第一歩は、顧客についての徹底的なリサーチから始まります。
インサイトを引き出すためにも、まずは顧客の業界動向や経営課題を広く知ることが大切です。
情報収集の方法としては、以下のようなものがあります。
- 顧客企業の公式サイトやIR資料を確認する
- ニュースや業界紙で最新動向をチェックする
- 同業他社の事例に当たる
- 社内の関係者にヒアリングする
こうした地道なリサーチを通じ、顧客を取り巻く環境を俯瞰的に捉えることが重要なのです。
その上で、競合他社の動向にも目を配りましょう。
顧客にとって、自社の提案がどのような価値をもたらし得るのか。
競合他社と比較しながら、自社の強みを整理しておくことが求められます。
こうした下準備があって初めて、顧客に対する仮説を立てられるようになるのです。
ステップ2:顧客インサイトの深掘り
いよいよ顧客との商談の場です。
ここで重要なのは、顧客の言葉の端々から、インサイトを引き出していくこと。
表面的な要望の背後にある、本当の課題を見抜く力が問われます。
例えば、こんな会話が想定されます。
「在庫管理システムを刷新したいのですが、コスト面が課題で...」
この一言からは、以下のようなインサイトが浮かび上がってきます。
- コスト意識が高い
- 在庫管理の非効率に課題感を持っている
- 抜本的な改善を求めている
こうした顧客の本音を引き出すには、適切な質問を重ねていく必要があります。
オープンクエスチョンを軸に、顧客の考えを自由に語ってもらうのです。
「在庫管理の理想的な姿は何でしょうか」 「在庫管理の改善によって、どのような成果を期待されていますか」
意識的に沈黙を設けるのも効果的です。
顧客の声に耳を傾け、その言葉の行間を読み取ること。
それこそが、インサイトセリングの真髄と言えるでしょう。
ステップ3:解決策の提示
顧客のインサイトが見えてきたら、いよいよ解決策の提示です。
その際、重要なのは以下の2点です。
- 顧客のニーズに合わせてカスタマイズする
- 自社の強みを最大限に活かす
画一的な提案では、顧客の心には響きません。
リサーチと対話を通じて把握した顧客ニーズを踏まえ、提案内容をカスタマイズしていく必要があります。
加えて、競合他社との差別化を図る上でも、自社の強みを打ち出すことが肝心です。
機能や価格面での優位性はもちろん、自社ならではのサービス・ソリューションを全面に押し出すのです。
こうした提案の「オーダーメイド感」こそが、顧客の信頼を勝ち取るカギとなるでしょう。
デジタルが変える営業スタイル
ここまで、インサイトセリングの実践方法を解説してきました。
しかし、こうした営業活動を属人的な"勘と経験"に頼っていては、いずれ限界が来ます。
インサイトセリングを組織的に展開し、全社的な営業力の底上げを図るためには、デジタル技術の力が欠かせません。
その有力なツールとして注目を集めるのが、デジタルセールスプラットフォーム「openpage」です。
openpageは、顧客とのあらゆる接点をデータ化し、フル活用するための基盤となるサービスです。
具体的には、以下のような活用方法が可能です。
活用方法1:提案資料をタイムリーに共有
openpageを使えば、顧客に応じた提案資料を、簡単に作成・共有できます。
資料は、専用のポータルサイトを通じて、顧客に提供。
閲覧状況や反応などもリアルタイムで把握できるため、より的確なフォローアップが可能になります。
こうしたタイムリーな情報共有は、インサイトセリングに欠かせない要素と言えるでしょう。
活用方法2:顧客の関心事をデータから探る
また、openpageは顧客の行動データを可視化する機能も備えています。
顧客がどの資料を熟読したのか、どんな質問が多かったのか。
こうした情報を分析することで、顧客の関心事や課題感をより深く理解できるようになります。
データという"事実"に基づいて、顧客のインサイトに迫ることができるのです。
活用方法3:ナレッジの共有と活用を加速
加えて、openpageは組織的なナレッジ共有も促進します。
過去の商談記録や優良事例などを、誰もがいつでも参照できる環境を整備。
暗黙知になりがちな"営業の勘所"を、チーム全体の資産として活用できるようになるのです。
ナレッジの蓄積と共有は、新人の育成にも役立ちます。
ベテラン営業の"技"を見える化し、後進に伝承していく。
そんな理想的な営業組織づくりにも、openpageは大きな力を発揮してくれるはずです。
インサイトセリングこそ、営業の本質
最後に、営業のあるべき姿について考えてみたいと思います。
インサイトセリングの考え方は、ある意味、営業の原点回帰とも言えるかもしれません。
製品・サービスを売るのではなく、顧客の課題解決に徹する。
顧客志向を貫き、信頼される存在となる。
こうした心がまえは、時代が移り変わっても普遍的に求められるものと言えるでしょう。
同時に、デジタル技術の力を的確に取り入れることの重要性も、改めて認識しておくべきです。
openpageが提供するのは、単なるシステムではありません。
インサイトセリングを通じて営業の在り方そのものを変革するための、強力なパートナーなのです。
営業組織の未来を切り拓く一助となれば幸いです。