カスタマーサクセスはIT業界に限った取り組みではありません。
製造業でもカスタマーサクセスができる方法があります。
今回は、製造業におけるカスタマーサクセスの取り組みのポイントについて解説します。
ポイント①:取引後の体験を考える
お客様との良い取引ができた際の「要因」を分析する
カスタマーサクセスは、主に契約後の「お客様の体験」の向上に投資をし、中長期的に売上を回収するモデルです。
売上をあげることは重要ですが、「契約後の体験に向き合う」ことが、真っ先にやるべきことであると言えます。
お客様との取引の中で、「このお客様とはうまく取引できたな」といった好事例があると思いますが、まずはそういった良い事例をゴールとして設定しましょう。
そのゴールに至るステップ、うまくいった取引の背景としてのステップを整理した上で、「どのようにアプローチすれば、お客様との取引がうまくいくのか?」というポイントを整理することが重要です。
「お客様がサクセスしている状態」をゴールと考え、そこに向かっていくための支援がカスタマーサクセスの活動ですが、このお客様の成功に向かってステップを考えていくことは、IT業界のみならず製造業の企業においても当てはまると考えています。
お客様との取引において失敗したりうまくいかなかったポイントがあると、その原因にフォーカスして考えがちです。
逆に成功したケースでも「成功要因」を考えていくことが重要です。
ポイント②:「中長期で売上を生み出すビジネスモデル」を作る
カスタマーサクセスからアプローチできるマネタイズのポイント
カスタマーサクセスは時間で言えば1年、2年、3年...といった時間軸で考えていく取り組みです。
このように長い時間軸で考えた時に、「何をすれば既存契約済みのお客様からより多くの売上を生み出せるのか?」を考えることが重要です。
例えば、マネタイズのポイントとして下記のような例が挙げられます。
・長期間にわたって何度も契約をしてもらう
・同じ製品だけではなく他の製品を買ってもらう
・BtoBの製品・サービスを提供している企業であれば、オプションやコンサルティング等の契約をしてもらう
製造業におけるマネタイズの考え方
BtoCの製造業の場合、ECサイトを自社運営している企業も多いと思います。
自社のECサイトにおいて、自社の製品の定期購入を促したり、複数製品の購入を促すこともできるでしょう。
BtoBメーカーでも同様に、複数製品を購入してもらう、大手企業に対してコンサルティング契約を結ぶなど、「プラスアルファ」のマネタイズポイントを中長期で探していくことが重要です。
とはいえ、お客様にお金を使っていただき売上を生み出すためには、「売れるもの」がないといけません。
「売れるもの」とは、お客様のニーズがあるものです。お客様の課題に対して、それを解決したりニーズを充足する商品を作ることで商品を買ってもらえ、売上に繋がります。
その意味では、「売れるもの」は何か?を同様に長い時間軸で考えていくことが必要です。
中長期の体験設計をマネタイズに変えていくことが、カスタマーサクセスを行う上では重要な視点であると言えます。
ポイント③:DX(Digital Transformation)に挑戦しよう
デジタル化とデータの重要性
DX(デジタルトランスフォーメーション)とカスタマーサクセスは、本来非常に相性の良い取り組みです。
業務や事業をデジタル化することをDXと言いますが、「デジタルな製品をお客様に提供していく」という意味合いもあります。
例えば、アプリやクラウドサービス等もデジタルサービスであり、お客様が契約いただいた後の様々なデータ(お客様情報や利用データ等)を取ることができます。
また、ITサービスであれば利用者マイページがあり、「自分の利用している機能」を見ることができることが多いと思いますが、これはつまり「サービスを提供する側が、利用者のデータを保有している」ということに他なりません。
カスタマーサクセスを考える上では、自社が保有するデータを生かしながら、中長期のサービス設計やマネタイズ設計をしていくことが重要です。
製造業におけるデータ活用の事例とカスタマーサクセスとしてのアプローチ
DXの流れの中で、新たなマネタイズポイントを作り、新たな売上を生み出していくこともカスタマーサクセスであると言えます。
例えば製造業においても、クレーン車にIoT機器が設置され、「いつ・どのようにクレーンが使われているか」のデータを計測しています。
裏側でデータを取ることで、どのクレーンがいつ稼働しているか、あるいは稼働していないかがわかるため、利用データに基づいたコンサルティングサービス等への広がりも考えられます。
デジタルでサービス提供することで、お客様のデータを得られるというのは非常に重要なポイントです。
カスタマーサクセスの取り組みを進める上でも、お客様のデータを理解しながらそれに基づいてフォローアップすることが可能になるでしょう。
「DX化」と「カスタマーサクセス」を紐づけて取り組みを進めていただけたらと思います。
まとめ
本記事では、製造業におけるカスタマーサクセスの取り組みのポイントとして、以下3点をご紹介しました。
- 取引後の体験を考える
- 「中長期で売上を生み出すビジネスモデル」を作る
- DX(Digital Transformation)に挑戦しよう
製造業であっても、取引後のお客様の体験に投資しながら、利用いただく商品のマネタイズのポイントを広げていくことが重要です。
その手段として、デジタル化によりお客様の情報や利用データを取得・保有し、データに基づいたフォローアップをする方法を紹介しました。
データに基づき適切なフォローアップをしながらお客様に製品を使ってもらうことで、より「お客様がサクセスしている状態」を実現することができるでしょう。