カスタマーサクセスの取り組みを進める企業の中で、ヘルススコアを導入している、
あるいはこれから導入しようとされている企業も多いのではないでしょうか。
結論から言えば、ヘルススコアは「非常に難しく、挫折しやすい」性質であると考えています。
今回の記事では、この「ヘルススコアの難しさ」と、
ヘルススコアをうまく運用するための対策方針について、詳細を解説していきます。
ヘルススコアの難しさと対策①:複雑・運用難易度の高いヘルススコアは挫折する
ヘルススコアは、数学で例えるとすれば「高校入学後、いきなり微分積分の勉強を始める」ぐらいの難しさです。
かなりハイレベルな要素が多く、基礎が全くない状態でヘルススコアを入れるのは大体挫折することが多いです。
むしろ、ヘルススコアを導入した会社ではほぼ「挫折した」話しか聞かないのでは、というぐらいに、皆さん挫折されていらっしゃる印象です。
中でも「ヘルススコア運用がうまくいっている」と言われているSansan社のカスタマーサクセス・山田ひさのりさんがやられている取り組みも、
「いきなり難しいヘルススコアの設定や運用」はしていないそうです。
最終形を作り上げていくことは非常に難しいのですが、「ヘルススコアの事始め」的な部分は実はシンプルであるべきです。
その意味で、いきなり複雑な、運用が難しいヘルススコアを導入することは避けるべきでしょう。
ヘルススコアの難しさと対策②:ヘルススコアの前に「基本的なデータの整備」を最優先にすべき
二つ目の重要なポイントは、ヘルススコアの前に「基本的なデータの整備」を最優先にすべきというお話です。
カスタマーサクセスにおける「データの活用の基本のき」から始めるということを意識した方がいいですね。
ちなみに、カスタマーサクセスのデータの基本として何が重要かと言えば、
例えば「自社が提供しているそのツールをどれぐらいお客様が使っているか」、といった指標が挙げられるでしょう。
上述したSansan社でも、最初は「プロダクトの利用状況を計測する」ところから始めたそうです。
まず最初に、ユーザーがちゃんと製品にログインしているか、
発行しているアカウントがアクティブになっているか等、
こういった基本的なデータを見た方が良いでしょう。
これらの基本的なデータが全く計測されてない状態でいきなりヘルススコア導入に挑戦をするのは、
算数で言えば足し算・掛け算といった基本的な内容を飛び越して、
いきなり微分積分にチャレンジする、といったことに近しい難易度であると言えます。
ヘルススコアの難しさと対策③:「データをコツコツと増やして準備」しよう
三つ目のポイントは「データをコツコツと増やして準備する」ことの重要性です。
いきなりヘルススコアに行くというよりは、
まずはカスタマーサクセスで取るべき一番大事だと思われるデータを、ちゃんと1個ずつ計測できる体制を作ることです。
具体的には、製品の利用データ、顧客アンケートのデータ、カスタマーサクセスの担当者が顧客と話す中で得られたプロダクトに対してフィードバックのデータ等が挙げられます。
これらのデータをきちんと計測し集め、「KPIとして見ることができるデータ」を、
まずはどれだけ増やしていけるか、が重要です。
大体は製品の利用から始まって、そこから今の契約状況やコミュニケーションしたやり取り等、
そういったデータから始めていきましょう。
ヘルススコアの難しさと対策④:各種KPIの「サマリー」としてのヘルススコアと捉えよう
最後のポイントですけど、カスタマーサクセスの取り組みではKPIが増えていきますが、それらKPIのサマリーとしてヘルススコアを作っていく、という話。
ヘルススコアは、結局「サマリー」なのです。
ヘルススコアはさまざまなデータがあるということを前提として、そのサマリーの結果を見るために存在します。
先ほど話したような、そのプロダクトの利用、契約データ、問い合わせデータやコミュニケーションとかそういったものがたくさんあることが前提。
サマリーを作る、ということはそもそも、それなりにデータがないとサマリーを作れません。
カスタマーサクセスの取り組みを開始して最初の1〜2年では、そもそもデータがまだまだ集まっていないですし、ヘルススコアとして「サマリー」を作る段階まで行っていないことが多いです。
そのため「ヘルススコアから取り組む」ことはやめた方がよいでしょう。
まずは基本的なデータ管理、その中でも一番重要なデータの管理からしっかりやるべきで、
これらのデータがありすぎてもう管理しきれなくなってきた、というタイミングで初めて、
これらを「サマリー」として見える化するヘルススコアを導入する、
というやり方が正しい捉え方と言えるのではないでしょうか。