2025年、SaaS業界は激動の時代を迎えています。OpenAIやAnthropicに代表されるAI企業の台頭により、市場の再編が進む一方、長引く景気後退と資金調達環境の悪化は、多くのSaaS企業の経営を圧迫しています。こうした逆風の中で、生き残りをかけた戦略の実行が求められています。
本記事では、SaaSの著名なブロガー、ジェイソン・レムキン氏の"Your SaaS New Year's Resolutions for 2025"を参考に、不況を乗り越えるための10の経営戦略をご提案します。SaaS企業の経営者や事業責任者の皆様、ぜひ参考にしてください。
戦略1:成長のカギを握る優秀な人材を確保せよ
不況下でこそ、優秀なVP(セールス、マーケティング、製品、エンジニアリングなど)の採用に注力すべきです。彼らのリーダーシップなくして、事業の成長はありえません。「人材採用は先送りできる」という誘惑に負けず、積極的に動きましょう。優秀な人材を惹きつけ、定着させるための報酬体系の見直しも必要です。
戦略2:キャッシュは命、燃焼率を厳格にコントロールせよ
資金が底をつけば、すべては水の泡。計画通りに燃焼率を管理し、キャッシュを可能な限り長持ちさせることが極めて重要です。ほんの少しの超過も、複利で効いてきます。経営層は、部門責任者との連携を密にし、支出の適切性を常にモニタリングすべきです。
戦略3:順調な顧客セグメントを見極め、注力せよ
不況の影響は、業界によって異なります。ヘルスケアのように底堅い需要がある領域や、景気後退の影響を受けにくい企業規模のセグメントを特定し、経営資源を集中投下しましょう。トップラインの成長を追求するあまり、収益性の低いセグメントに手を広げるのは禁物です。「選択と集中」が鉄則といえるでしょう。
戦略4:高いリテンションに甘んじるな、成長率を追求せよ
純リテンションレート(NRR)が高くても、それ以上の成長率(NRR+20%以上)を目指すべきです。アップセルやクロスセルの促進、新規顧客の獲得など、トップライン成長の源泉は複数あります。NRRの高さに安住せず、あらゆる施策を講じて、競合他社を上回る成長率を確保しましょう。
戦略5:既存顧客の満足度を高める新製品を投入せよ
不況下では、新規顧客の獲得コストが高くつきます。そこで重要になるのが、既存顧客へのクロスセルの促進です。顧客のニーズを的確に捉えた新製品を投入し、顧客あたりの売上を増やすことで、トップラインの成長と収益性の向上を同時に実現しましょう。
戦略6:ハイエンドエディションで客単価を引き上げよ
不況下で一律の値上げは難しいかもしれません。その代わりに、付加価値の高いハイエンドエディションを新たに投入し、客単価の引き上げを狙いましょう。機能制限のある無料版と、フル機能の有料版を組み合わせたフリーミアムモデルへの移行も一案です。
戦略7:低パフォーマーとは速やかに決別せよ
景気拡大局面では、多少のパフォーマンス不足も許容されがちです。しかし、不況下では「守るべき人材」に経営資源を集中すべき。特に、顧客サクセスの最前線で働く社員の質は、顧客維持率に直結します。降格や異動などの抜本的な入れ替えを恐れず、低パフォーマーとは速やかに決別する覚悟を持ちましょう。
戦略8:優秀な人材を報い、定着させよ
優秀な人材は、どの企業でも引く手あまたです。彼らを報い、定着させるための施策が欠かせません。単なる報酬アップだけでなく、将来のキャリアパスを明示し、スキルアップの機会を提供することも重要。優秀な人材の積極的な昇進・昇格人事を通じて、組織内に「伸びしろ」を感じさせることが求められます。
戦略9:投資家との対話を活発化せよ
資金調達環境が悪化する中、投資家との良好な関係構築がこれまで以上に重要になります。投資家への定期的な進捗報告や、取締役会での議論の活性化などを通じて、経営の透明性を高めましょう。投資家の理解と支援を得ることは、長期的な成長の原動力になるはずです。
戦略10:競合他社を上回る成長を示せ
たとえ市場全体が低迷していても、競合他社との「相対的な勝負」に勝つことが大切です。自社の成長率を競合他社と常にベンチマークし、少しでも上回るよう全社一丸となって取り組む。それが、不況下でも市場シェアを拡大し、投資家の信頼を得るための近道となるでしょう。
以上、SaaS企業が不況を乗り切るための10の経営戦略をご紹介しました。景気後退とAIによる再編という二重の脅威にさらされる中、経営者には難しい舵取りが求められます。しかし、生き残りをかけた変革に果敢に取り組むことこそが、新たな飛躍のチャンスを掴む上で欠かせません。是非、本記事を参考に、自社の経営戦略を見直してみてください。
おわりに
最後に、SaaS企業の営業効率化におすすめのツールをご紹介します。openpageは、デジタルセールスルーム(DSR)を提供するベンダーです。多くのSaaS企業の営業組織で採用され、新規から既存の顧客までの営業活動、リードタイムの短縮や取引単価の向上に貢献しています。優秀な営業人材の定着にも役立つとして、高い評価を得ています。
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