【緊急企画】SaaSバブル終了?〇〇な企業だけ生き残る!

  • 公開日:2022年12月30日(金)

 

 

2022年は、ウクライナ侵攻を発端とした原油価格の高騰や、インフレ抑制のための利上げなど、
経済を取り巻く状況が大きく変化し、企業の株価にも大きな影響を与えました。
特にこれまで好調だったSaaS企業でも、軒並み苦戦を強いられている企業は多いでしょう。

今回の記事では、SaaS企業の時価総額と、
時価総額が低下したからこそカスタマーサクセスの存在感が高まっている、という話を、
投資家の方とお話しした内容も元に解説します。

2022年はSaaS企業のバブルが弾けた!?

SaaS企業の時価総額は約1/5に

今回のテーマは「SaaS(Software as a Service)企業のバブルが弾けた」というお話です。
去年(2021年)と今年(2022年)では、SaaS企業の「評価のされ方」が大きく違ってきています。

特に変わってきているのは、SaaS企業の時価総額、つまり「会社の価値」です。
SaaS企業では、時価総額は「PSR(Price Sales Ratio、株価売上倍率)」という指標で評価されることが多くあります。

PSRは単純化すると、「売上×〇〇倍=会社の価格」という計算式ですが、
2021年では大体「20倍」くらいで評価される企業が多くありました。
例えば、売上5億円の会社は、5億×20倍でとなり、「100億円の時価総額」となります。

しかし、今年(2022年)は軒並み「1/5」くらいに下がっているのです。

先ほどの例で売上5億円のSaaS企業があったとすると、
今年は「25億円の時価総額」となってしまうので、大きく下がっていることがわかります。

時価総額が下がると・・・資金調達がしづらい

時価総額が下がってしまうとどうなるか?実は企業経営的に大きな影響があります。
それは、「資金調達がやりづらくなる」ことです。

かなり単純化した事例を使って、「ベンチャーキャピタル(VC)等の投資家に、20%の株価を渡す」資金調達のケースをご紹介します。

・時価総額が100億円の場合は、20%の株価を渡すとすると「100億円の20%=20億円」の資金を調達することができます。
・一方で時価総額が25億円の場合は、20%の株価を渡すとすると「25億円の20%=5億円」しか調達できなくなってしまう計算になります。

今年(2022年)は、資金調達をする上でも非常に難しい1年だったと思います。
時価総額が低くなれば、企業はその分ガンガン売上を上げていくしかありません。

時価総額が低下しているからこそ重要なカスタマーサクセス

とはいえ、新規のお客様を闇雲に増やすのも難しい状況というケースも多いでしょう。
そこで、カスタマーサクセスで売上を上げる・作っていく動きが重要になります。

カスタマーサクセスで売上を上げていくためには、下記のような取り組みが可能です。
・既存のお客様に他のお客様を紹介して欲しいと依頼する
・上位プランに契約を切り替えてもらう
・CS側で得た「XXという用途でも使える」といった事例を営業にも伝え、売り込んでもらう
・お客様の事例のコンテンツを作り、マーケティングのリード獲得に積極的に関与する

いずれも「攻めのアクション」になると思いますが、
カスタマーサクセスはもっともっと、こういった「攻めのアクション」に関与していくべきです。

以前の記事で、売上継続率(NDR:Net Dollar Retention、NRP:Net Revenue Retention)の話を取り上げましたが、
こういった指標を上げていくための取り組みに早め早めにシフトしていく必要があります。
<編集部註:売上継続率、NDR・NRPについてはこちらの記事を参照>

つまり、カスタマーサクセスもクロスセル・アップセルを強烈に追っていくような組織に変化していく必要があるでしょう。

「解約を防ぐ」ことは当たり前で、
それだけではなくドンドン売上を上げていく「プロフィットセンター」になることが、
カスタマーサクセス部門として今年以降、より求められるのではないでしょうか。

投資家目線でのSaaS企業の評価とは?

投資家も「カスタマーサクセス」の要素を重視している

Openpage代表・藤島は投資家の方々と日々コミュニケーションを取っています。

ベンチャーキャピタル(VC)や機関投資家の方々に「どんな点でSaaS企業を評価しているのか」という質問をしたところ、
実は「カスタマーサクセス的な要素」を非常によく見ていらっしゃることがわかりました。

具体的には「会社の価値を高めていく」という意味では、
投資家の皆さんは具体的に「製品の導入までのリードタイム」を重視して見ていらっしゃるようです。

なぜなら、リードタイムがかかればかかるほど、営業やカスタマーサクセスの人件費が大きくなってしまうためです。
導入までのリードタイムが短くなると、その分コストを抑えていくことができるので利益拡大にも繋がります。

いかにお客様に熱狂的になってもらい、「なくてはならない!」と言わせるか?

また、投資家の方は「製品やサービスの汎用性」「提案の再現性」も見ていらっしゃるようです。

具体的には、自社の製品やサービスが、「どのお客様に対しても再現性を持って効果が出る状態になっているか?」ということで、
これは「カスタマーサクセスがうまく出来ている状態」であることも意味します。

「頑張って契約を取ったけど、実は効果が出ていない・・・」といったパターンも実はかなりあるようで、「ただ契約を取っただけ」では評価されません。

製品・サービスを使って効果が出る状態になるために、
最終的にはお客様の熱量の高さや、「お客様の業務にとってMust haveかどうか」という要素も必要です。

お客様から「この製品・サービスがないと業務が回らない」と言われる状態を作ることが投資家からも求められているのです。

冒頭にお伝えした通り、今年(2022年)は時価総額による評価が非常に厳しくなっているので、
投資家側も「この会社に投資するべきかしないべきか?」の判断は非常に慎重になっています。

投資家の方もお客様にヒアリングしたりして、
「お客様が熱量高く、その製品を触って、かつ使っている状態なのか?」を見にいくこともあるようですので、やはりカスタマーサクセスは非常に重要な存在になっていると言えます。

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