『Sales is 科学的に「成果をコントロールする」営業術』に学ぶ、現代の営業に必要なマインドセットとスキル

  • 公開日:2025年1月6日(月)

はじめに

株式会社openpageの代表取締役の藤島誓也と申します。今回、セレブリックスの今井晶也氏による著書『Sales is 科学的に「成果をコントロールする」営業術』を拝読しました。openpageはセレブリックスとアライアンスを組んでおり、日頃からセレブリックスの営業ノウハウには注目しています。そんな身内のような気持ちを持ちながら、本書を読み進めましたので、その感想を以下にまとめてみました。

序章で伝えられる営業の本質

本書の序章では、「顧客は商品を『買わない』」「営業は可能性を見える化する仕事」「コンテンツを作れる人が勝つ」という、営業の本質が語られています。特に法人営業においては、顧客の購買行動を「買う・買わない」ではなく、「投資する・投資しない」という観点で捉える必要があるという指摘は非常に重要だと感じました。

顧客企業が投資判断を行う際には、自社の戦略や競合の動向、従業員の満足度など、様々な要因を考慮します。つまり、営業は単に商品を売るのではなく、顧客の成功可能性を言語化し、投資の優先度を高めていく役割を担っているのです。そのためには、営業自身がコンテンツを作り、専門性と信頼性を示していくことが不可欠だと著者は指摘しています。

営業のマインドセットと顧客視点の重要性

第1章では、営業に必要な10のルールが紹介されていますが、中でも「お客様を主語に」という考え方は非常に重要だと感じました。ただし、著者も指摘しているように、顧客視点に立つことは簡単ではありません。顧客の業務内容やスキルレベル、組織風土、戦略、個人的な背景など、様々な要素を考慮する必要があります。

加えて、顧客の視点は複眼的であり、一つの観点だけでは捉えきれません。営業は顧客の多様な視点を理解し、そこに立脚した提案を行うべきだというのが私の考えです。しかし実際には、自社の営業目標達成を優先するあまり、顧客視点を度外視してしまう営業パーソンが少なくありません。そのような営業は結局のところ顧客から信頼を得られず、長期的な関係構築に失敗してしまうでしょう。営業のマインドセットを顧客視点に徹底的に合わせていくことが、現代の営業に求められていると感じました。

アポイント獲得のためのマーケティングの重要性

第2章では、顧客との接点を作るためのテクニックが解説されていますが、ここで個人的に感じたのは、マーケティングの重要性です。いくらリストを作っても、自社のリードに入っていなければ、接点を作るのは容易ではありません。むしろ、コンテンツマーケティングや広告、展示会などを通じてリードを獲得し、そこから商談化していくほうが近道だと考えます。

そのためには、営業自身がコンテンツ作りに関わり、発信していくことが重要です。コンテンツを通じて信用を獲得し、SNSのフォロワーを増やしていく。そこからソーシャルセリングにつなげていくという流れが理想的だと感じました。一方で、コンテンツを発信せずにソーシャルセリングを行うのは、単なる迷惑行為になりかねません。アポイント獲得のためには、まずマーケティングの基盤づくりが欠かせないというのが私の考えです。

セールスプロセスの設計と論理の積み上げ

第3章で解説されているセールスプロセスの話は、私も非常に重要だと感じています。著者が指摘しているように、各商談では反論対策を行うことが求められます。ただし、私としては「反論」という言葉よりも、「賛成のための論理を積み上げる」というニュアンスのほうが近いと感じています。

法人営業において、1回の商談で案件を決めるのはかなり難しいでしょう。発注に至るための論理が積み上がっていないからです。そのため、複数回の商談を通じて論理を積み上げ、合意形成を進めていくアプローチが必要だと考えます。そのためにどのようなセールスプロセスを設計するのか。これは営業パーソンにとって非常に重要な問いだと感じました。

カスタマーサクセスを見据えた営業の重要性

第4章と第5章では、見込み案件の作り方と攻略方法が解説されていますが、ここで特に印象に残ったのは、「ファクトファインディング」と「オーダーコントロール」の概念です。

ファクトファインディングとは、顧客の課題を整理し、真に必要な対策を見極めるプロセスです。営業がヒアリングを行う際、ただ聞きっぱなしになるのではなく、顧客と一緒に課題を整理し、投資意欲の高い話題を見極めていく必要があります。

一方、オーダーコントロールとは、整理された課題に対して具体的な取り組み内容を詰め、社内での働きかけ方を設計していくプロセスです。これにより、単なる口約束ではなく、課題解決に向けた具体的な要件が固まり、取引の現実性が増していきます。

これらのプロセスを通じて、営業は単に商品を売るのではなく、顧客の成功をサポートする存在になっていくのだと感じました。カスタマーサクセスを見据えた営業活動の重要性を、本書は説いているのだと理解しました。

顧客の変革を促すための言語化スキル

終章では、顧客との長期的な関係構築について語られていますが、ここで重要なのは「現状維持バイアス」を意識することだと感じました。現状維持バイアスとは、変化に対する心理的な抵抗感から、顧客が現状を維持しようとする傾向のことです。新しい取り組みへの不安感や、変化に伴う労力への懸念から、せっかくの提案がうやむやになってしまうことは少なくありません。

この現状維持バイアスを乗り越えるためには、営業が変革の必要性を言語化し、未来の姿を描き出す必要があります。顧客視点に立ったタイトルの設定、課題設定のデザイン、変革後の姿の見える化など、言葉の力で顧客を動かしていくスキルが問われるのです。営業パーソンは「言葉のプロフェッショナル」であることが求められていると、私は考えます。

おわりに

今回、『Sales is 科学的に「成果をコントロールする」営業術』を通じて、現代の営業に求められるマインドセットとスキルについて学ぶことができました。本書は、従来の営業手法に加え、SFAを活用した営業フェーズの管理や、カスタマーサクセスを意識した提案手法など、新しい営業のあり方を提示している点が印象的でした。

openpageがセレブリックスとアライアンスを組んだのも、まさにこの「シン・セールス」のノウハウを取り入れ、デジタルセールスの力を強化していきたいと考えたからです。本書で紹介されているような論理の積み上げや課題整理、要件定義、未来の姿の言語化などは、openpageのデジタルセールスにおいても非常に重要なスキルだと感じています。

セレブリックスの営業ノウハウは、本書だけでなくブログでも発信されているようです。今後も継続的に学びを深め、openpageの営業力強化につなげていきたいと考えています。

最後に、本書を通じて得た学びを実践し、顧客の成功に貢献し続けることが、現代の営業パーソンに求められていることを改めて感じました。著者の今井氏をはじめ、セレブリックスの皆様には、この場を借りて感謝の意を表したいと思います。

以上が、『Sales is 科学的に「成果をコントロールする」営業術』を読んだ感想となります。少し長くなってしまいましたが、本書の内容を振り返り、自身の考えを整理する良い機会となりました。営業の皆様には、ぜひ一読をお勧めしたい一冊です。

株式会社openpage 代表取締役 藤島誓也

openpageの資料ダウンロードはこちら

 

新規CTA
新規CTA

最新記事