【考察】もしも、あなたがセールスフォースの社員だったら?

  • 公開日:2023年1月28日(土)

 

 

「SaaS(Software as a Service)」という考え方の生みの親であるsalesforce社は、
カスタマーサクセスの取り組みも他企業の一歩先を歩んでいます。

今回の記事では、そんなSalesforce社の組織図の解説を通じて、
salesforce社のカスタマーサクセスの歴史や基本的な考え方についてご紹介します。

カスタマーサクセスの生みの親は・・・実はsalesforceではない!?

salesforceは1999年設立、2004年にニューヨーク証券取引所に上場しました。
上場した2004年当時、salesforceのライバル企業は「SIEBEL社」という会社でした。

SIEBEL社の設立はsalesforceよりも古く1993年。
salesforceと同じく「SFA(Sales Force Automation)」と呼ばれる、
営業活動支援や業務効率化など、営業担当者をサポートするためのツールを提供していました。

「カスタマーサクセス」という言葉を最初に言い出したのは諸説ありますが、
実はsalesforceではなくSIEBEL社だったのです。

SIEBEL社は、2004年ごろにはすでに「既存のお客様のフォローアップにはカスタマーサクセスが必要だ」と唱えていました。

しかし、もはやSIEBEL社のことを知っている人が少なくなり、「salesforceがカスタマーサクセスを生んだ」という風潮が強くなっていると言えます。
(編集部注:SIEBEL社は2005年にオラクル社に買収されています。)

カスタマーサクセス組織は解約率を低下させるために作られた

salesforceのカスタマーサクセス組織の立ち上げの背景ですが、
上述の通り、SIEBEL社がカスタマーサクセスと言い始めたのはまさに、salesforceが上場した2004年ごろのことです。

salesforceも競合のSIEBEL社の動きを見て、カスタマーサクセス組織を置くことを検討します。
なぜならちょうどその時期、salesforceの解約率が非常に問題となっていたためです。

salesforceは現在もそうですが、2004年当時もまさに「イケイケ」で、
お客様が増え続けていましたが同時に解約数も非常に多く、経営陣も危機感を持っていました。

salesforceが最初に作ったカスタマーサクセス組織は「Customers for Lifeチーム」と名付けられ、
後に「カスタマーサクセス」という名称に変更されました。

組織ができてすぐの時には、契約の更新やクロスセルといった取り組みというよりは、
「ちゃんとsalesforceを使ってもらう」ための「オンボーディング」や「アダプション」の取り組みを中心に行っていたようです。

salesforceはどのように現在の「カスタマーサクセス」組織を作り上げたのか?

元々はsalesforceの活用支援から始まったカスタマーサクセスですが、
その後どのように現在の「カスタマーサクセス」の形に近づけていったのでしょうか。

まず、「製品の活用を促進するチーム」を作り、
その後に「収益維持チーム(契約更新を担当するチーム)を作りました。

その次に現在の「ヘルススコア」に近い取り組みである「アーリーワーニングシステム」に取り組みました。
お客様のsalesforceの活用のスコアを計測し、警戒水域になればアラートをあげる、という仕組みを最初に作ったのです。

製品の活用を支援し、収益を維持し、何かあったらアラートを上げる。
この一連の流れこそが、現在の「カスタマーサクセスの原型」と言えます。

カスタマーサクセスの「有償」と「無償」のアプローチを区別する

続いて、salesforceの専門的な技術支援や課題解決を行うプロフェッショナルチーム、
つまり「有償でカスタマーサクセスを行う組織」の構築に着手しました。

最近だとあらゆる業界・分野で「カスタマーサクセス」という言葉を聞きますが、
コンサルティングファームが支援することの多いDXの取り組みも、
要素としては「ハイタッチのカスタマーサクセス」に近くなってきています。

つまり、お客様の規模が大きくなればなるほど、カスタマーサクセスとしての動きは経営コンサルやITコンサルに近くなっていくのです。

salesforceも組織の規模が大きくなるにつれ、
ハイタッチのカスタマーサクセスが中心となっていくことで製品単価が上がっています。

一方で、salesforceでは大手企業向けの組織だけではなく、
「SMB」と言われる中小企業向けのカスタマーサクセス組織も構築しています。
例えば、SMB向けのワークショップ、コミュニティの整備が一例として挙げられます。

また、salesforceでは、顧客がweb上で学習を進めることのできる「TrailHead」というwebサイトも用意しており、
ロータッチやテックタッチによるコミュニケーションツールの整備も同時並行で進めています。

salesforceの組織の編成を考えると、大手企業向けにはハイタッチのサービスを提供し、
中小企業様向けにはデジタルファーストで提供するように進化しているのです。

カスタマーサクセスの組織を構築する上では、
salesforceの背中を追うことでより効率的に取り組みを進めることができるのではないでしょうか。

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