日本を代表するSaaS企業であり、日本のカスタマーサクセスの最先端を走るSansan株式会社。
今回の記事では、Sansan社で実践されているカスタマーサクセスの取り組みやヘルススコアの使い方について紹介します。
Sansanから学ぶカスタマーサクセスのヘルススコアの上手な使い方!
さまざまな分野・企業のカスタマーサクセスの方に聞いても、
皆さんともに「Sansanのカスタマーサクセスはすごい!勉強になる!」といった話をされていました。
Sansan社のカスタマーサクセスは、「山田ひさのりさん」という方が非常に有名で、書籍も出していらっしゃいます。
Sansan社では、この山田さんを筆頭にカスタマーサクセスの仕組み作りが進められています。
openpage代表・藤島も山田さんと何度かお話をしたことがありますが、
山田さんご自身も最初は「Gainsightのカスタマーサクセスのフレームワークに乗っかろう」という取り組みをされていたようです。
Gainsightでは「DEARフレームワーク」に沿って、カスタマーサクセスのヘルススコアが設計されています。
【過去のSansan社のCS紹介記事はこちら】
【お手本】みんなの憧れ!SanSanの日本式カスタマーサクセスとは?
直近、山田さんはベンチャーキャピタルのALL STAR SAAS FUNDというベンチャーキャピタルでアドバイザーもされていらっしゃいますが、
そのブログ記事において、カスタマーサクセスとしてどんな数字を取るべきかを解説されています。本記事と合わせて、ALL STAR SAAS FUNDさんの記事も読んでいただくと良いでしょう。
【ALL STAR SAAS BLOG 山田ひさのりさんの記事】
https://blog.allstarsaas.com/member/yamada-hisanori
Sansanのヘルススコア設計の「事始め」
Sansanのヘルススコア設計では、
最初にカスタマーサクセスとして「プロダクトの利用率」を追うところから始めたようです。
プロダクトの利用率は、例えばSansanというサービスへの「ログイン」「アクセスの状況」に代表されます。
Sansanは名刺管理ツールですので、
「ユーザーがSansanのサービスに名刺をどれくらい取り込んでいるのか」というデータを取れるようにしたのです。
プロダクトの利用率から始まり、コツコツともっといろんなデータを取り込めるように増やしていったようです。
例えば、Salesforceに入っている顧客の契約データをSansanのプロダクトに連携する等、
「カスタマーサクセスに関連するデータ」を一つずつまとめていく作業を行っていきました。
「ヘルススコア」はなぜ必要か?
多数のデータがあるとどうしても複雑になりがちです。
先ほどの例で言えば「ログイン」「アクセス状況」「名刺取り込み状況」だけでも3つのデータが存在し、
あれも・これもとデータを取り込んでいくと、最終的に「何を見ればいいのかわからない」状態になってしまうことも多いでしょう。
だからこそ、「ヘルススコア」を使い、さまざまなデータをシンプルにまとめ、わかりやすくする必要があるのです。
ヘルススコア自体は非常に重要ですが、
Sansan社では取得したデータに基づいて数値やポイントを算出した上で、
「XXのレベル=赤」「XXのレベル=青」のように、信号機的に「状態を可視化して割り振る仕組み」を作っています。
これはシステムを導入せずともスプレッドシートでもできますし、
もちろんSalesforceやGainsightなどのツールを活用することも可能です。
このようにツールの力も借りて、ヘルススコアに応じた色づけをしていくのです。
さらに、ユーザーの行動に応じて、
例えば「セミナー参加したら3ポイント」「ログインしたら1ポイント」のようなポイント設計を行っています。
(ポイント作りや集計、信号機のような可視化をするツールの筆頭こそが「Gainsight」になります。)
最適なヘルススコアの設計と運用は一朝一夕で終わらない
ヘルススコアを作っても「そのスコアが全然当てにならない!」となれば意味をなしません。
ヘルススコアを適正に運用していくためには試行錯誤が必要であり、
山田さんは、「最低でも半年ぐらいは、データを溜めて・作って・試して・振り返って、のサイクルを回していくべき」とおっしゃっています。
山田さんは、ヘルススコアの「信号機」を4個ぐらいの色に分けているそうで、
例えば「青=解約率がXX%」といった基準を並べながら、
「本当に正しいのか?」という検証をずっとやっていたそうです。
山田さんは元々SIer出身でシステムエンジニアの方です。
さらにSansan社はデータ分析に得意な方やデータサイエンティストみたいな方もたくさん抱えているため、ヘルススコアの運用もしっかりできているのではないでしょうか。
一方で、Sansanのようなデータサイエンス人材が豊富にいない会社の方が、世の中には圧倒的多数だと思いますので、
「Sansanの真似をするのは難しい・・・」と思われることも多いでしょう。
逆に言えば、ヘルススコアの設計や運用は、「データに強いエンジニア」や「データ分析の専門人材」が率先して取り組むべきだと言えます。
以前、openpageの記事でもゲストでME株式会社の甲斐さんという方にご登場いただきましたが、
甲斐さんも「カスタマーサクセスとしてのヘルススコアの設計を行う上ではエンジニアの仕事がバックグラウンドにあった」といったようなことをおっしゃっていました。
【参考:甲斐さん登場の対談記事】
【新時代】エンジニア考案のカスタマーサクセス成功法って?!
甲斐さんのようにエンジニアのバックグラウンドをお持ちの方、
そうでなくとも少なくとも「データが好きな方」が向いてるのではないでしょうか。