営業プロセスを支援するツールである、SFA(Sales Force Automation)やCRM。
貴社では有効に支えていらっしゃいますでしょうか?
今回も、株式会社セールスのタクミ、代表の佐藤匠さんにお越しいただき、
SFAやCRM活用のポイントについて、openpage代表・藤島との対談形式でお届けします。
SFAやCRMの「必要性」とは!?
藤島:
SFAはさまざまな会社で導入されてていると思いますが、そもそもSFAをどのように導入し、どのように結果を出していくのか。
SFAのメリットも含めて、学んでいきたいと思います。
そもそも、SFAやCRMはなぜ必要なのでしょうか。
佐藤:
「どんなお客様と、何を話したのか」「最後に何を話したのか」「お客様の課題は何か」をしっかりと認識をするために重要だと考えています。
藤島:
そもそも「誰と何を話したのか」を残しておくことはなぜ重要なのでしょうか。
佐藤:
法人営業ですと、リードタイムが1-2ヶ月であることが多く、色々なステークホルダーと商談をします。
最初に担当者の方が1〜2名いらっしゃって、その後に決済者の方が数名現れます。
場合によっては、他の部署の方を巻き込んでさまざまな情報のやりとりが発生します。
その時に、過去の情報が残っていないとうまく商談を進めることができません。
法人営業では決裁者の方が「将軍」だとすれば、
これを攻めるにあたってどういう地図を描くかを頭に入れた上で、戦略を立てる必要があります。
そのための情報は、インターネットを見てもわかりません。
誰がどんな決裁権を持っているのか、どのような特徴があるのか、といった点は営業プロセスの中で把握し、貯めていくものです。
その解像度を上げるために、SFAやCRMは必要です。
藤島:
確かに営業の地図とか、今の解像度、という言葉は僕もいいなと思っています。
私も会社の代表として法人営業をしていて感じるところとして、
顧客視点だと、新しいプロジェクトや取り組みに対しての「投資」という感覚となるので、社内で(稟議などを)通していただくのも大変だと思います。
僕は事業会社にいた経験もありますので、
新しいツールを導入したり、コンサルティングの導入検討をしてきましたが、提案受けた内容を、社内でいかに上に上げていくのか、を顧客目線で考えないといけないですね。
当然ながら、社内で稟議を上げる側としては、「自分の意思」もある。
ただ「自分の意思」だけではなく、上長や事業部のお偉い方・役員の方、IT・セキュリティを管掌する部門からの「つっこみ」が発生します。
そこを考慮しながらうまく稟議を上げる必要があるなと思っており、法人営業の大変さを感じました。
BtoCのセールスであれば、例えば「住宅購入」とかであれば重要な意思決定になりますが、
それでも決めるまでに会うのは2〜3回程度ではないでしょうか。
それが法人営業だと、数千万・数億単位のものも出てくるので、当然検討も慎重になりますし、検討プロセスも長くなります。
その取引を管理する上では、SFAを入れないといけない、と思います。
SFAやCRMをどう導入すべきか:「お客様情報」を貯めていくことが重要
藤島:
ちなみに、SFAやCRMを「どのように導入すべきか」について、お考えはありますか。
佐藤:
「今から導入される方」向けですが、
SFAには、例えば特定の項目を必須にして「入力しないと完了できないようにする」機能や、
「商談抜け漏れ事項を勝手に教えてくれる」機能など、本当にさまざまな機能があります。
ただ、まずは「お客様情報を貯めておく」ことが重要で、
「どのお客様企業なのか、担当者は誰か、それに紐づく架電内容のメモ」などを蓄積していくだけでも十分です。
SFAを導入する前に、みなさんがExcelや個人のメモ帳などにデータが残していると思います。
それらをシート1枚に書き出していただいて、データを整理しましょう。
その後、社内全体として「どのお客さん・会社・担当者がいるのか」という点と、
自社の営業担当による予測も含めてSFAやCRMにインポートすれば、「全お客様が検索できる状態」となります。
まずはこの「データの移管」から進めていただき、商談のメモはSFA上で残してもらえれば、
例えば管理者の方も「あの案件がどうなっているか」も見ることができます。
藤島:
会社とお客様の担当者、商談内容、営業担当に関するデータを貯めていく、ということですね。
先日、「シン・営業力」という本を執筆された、元キーエンスの天野眞也さんのYouTube動画を見ていたのですが、
天野さんも「法人と個人、どちらも管理しなさい」という話をされていて。
法人の組織なので「法人としてどういう意思決定をするのか」という点も必要なのですが、あくまでも「法人の中に、個人が紐づいてる状態」ですので、
「個人の方が法人に働きかけて動かしてもらう」ためのサポートをしないといけない。
それを実践していく上では、
お客様のことを「株式会社XX様」とか会社名で呼ぶことも多いと思うのですが、
会社という単位だけではなく、その会社の「担当者の方(=個人)がどう思っているか」も非常に重要だという話をされていて、すごく納得しました。
その意味でも、会社と担当者とそのお客様との商談の状況と、
自社の営業担当を管理するということは、SFAの「基本のき」だと思いました。
SFAの運用が回り始めたら・・・担当者情報を「タグ付け」し、業務を自動化する!
藤島:
SFAに必要なデータが蓄積される状態が作れた後、その「発展系」をどう作っていくべきでしょうか。
佐藤:
「担当者情報」といっても、架電のメモやメールのメモだけではなく、
「顧客の決裁者の方」が「担当者レベルの方」がいらっしゃると思いますので、担当者情報に「タグ付け」をしていく。
また、より細かい情報を「カラム」という形で追加するという方法があります。
さらに発展させていくと、SFAやCRMにはフローを自動化する機能がついていますので、
例えば更新ができていない商談・案件があれば、その担当者に通知を飛ばすことで、
お客様への追加連絡の手間を減らす等、営業サポートをしてくれます。
このように業務をどんどん自動化をしていって、人間がしなくてもいいことはツールにしてもらい、
人間は自分がすべきところをフォローしていく、という体制まで作れると非常に良いでしょう。
藤島:
「お客さんの担当者」情報の、自動的なフラグ付けはおそらくツール側ではできないと思いますのでそこは手動でつけていくと。
プラスで、SFAですと最終商談日とか、商談フェーズの滞在日数などもデータとして取れますので、
「ある程度特定フェーズでの滞在時間が長くなった場合にアラートを上げる」みたいなこともできますよね。
佐藤:
現場の担当者目線ですと、SFAは営業サポートをしてくれるツールですし、
経営者やマネージャー目線だと、「初回商談から受注日までのリードタイムはどれぐらいか」や「決裁者から受注までのリードタイムはどのぐらいか」など、細かいデータが見えてきます。
これらをインプットとして、営業プロセスの改善に着手したり、営業担当の育成に繋げることもできます。
単純な営業サポートの領域を超えて、経営管理や営業の市場管理にも繋げていけるでしょう。
藤島:
確かに私も経営者という観点からすると、投資家からCAC(顧客獲得コスト)について突っ込まれることが多いです。
CACを考慮すると営業のリードタイムが非常に重要で、リードタイムが長くなると営業担当の人件費も多くなります。
なるべく短い商談のリードタイムで、お客様にコンスタントに投資の意思決定をしてもらえるかどうかについては私も重要視しているところです。
これらはSFAをちゃんと運用していけば、ちゃんと取れてくる、ということも改めて理解しました。