カスタマーサクセスの支援には、ハイタッチ、ロータッチ、テックタッチといくつかの種類があります。そして、日本のカスタマーサクセスは現状ハイタッチで支援する企業がほとんど。
たしかに手厚い支援で顧客の成功に伴走するのは効果的ですが、実はハイタッチだけを続けているとデメリットもあります。
この記事では、カスタマーサクセスがハイタッチのみで支援をおこなうことで生まれるデメリットと、それに対してテックタッチがどのように効果を発揮するかを解説します。
なお、タッチモデルについてより詳しく知りたい方はこちらの記事もあわせてご覧ください。
参考記事:カスタマーサクセスのハイタッチ・ロータッチ・テックタッチとは?それぞれの役割も解説
ハイタッチだけを続ける6つのデメリット
ハイタッチのみで支援を続けていると、大きなデメリットが発生する可能性があります。なかでも重要な6つを見ていきましょう。
デメリット①:顧客体験のバラつき
ハイタッチの大きなデメリットのひとつが、顧客体験にバラつきが出てしまうということです。
担当者がそれぞれの顧客に個別に支援を行う手法のため、どうしても人によって品質に差が生じてしまいます。また、製品の使い方、新機能、活用ノウハウ、スケジュールなど伝えるべきことが多く、抜け漏れのリスクも。
担当者のスキルによっては、伝えなければいけない内容が伝わっていない、または伝え方に問題があるというケースが発生し、顧客体験を損なう可能性があるのです。
チームが小規模で顧客数が少ないうちはスタープレーヤーがカバーするやり方でもなんとかなりますが、拡大とともにリスクがけん在化してきます。
デメリット②:顧客ごとの最適化が難しい
意外にも思えますが、ハイタッチ支援のみだと一人ひとりの顧客への最適化が難しくなるケースもあります。
理想的なカスタマーサクセスの支援は、顧客の製品理解度、モチベーション、活用度をふまえて、それにあわせたコミュニケーションをしていくこと。
ところが、ハイタッチは顧客理解がそれぞれの担当者に属人化しがちで、組織全体で情報を共有できる基盤ができません。そして、顧客情報がなければ的確な1to1のコミュニケーションをとるのが難しくなります。
優秀なハイタッチ担当者であればそれぞれの顧客状況を把握しながらサポートができますが、その人が辞めてしまうと再現性は失われてしまうため、なかなか組織全体での積み上げができません。
デメリット③:対応可能な顧客数が増えない
ハイタッチは基本的に担当者が1:1で顧客を支援するため、どうしても対応できる顧客数には限りがあります。
小規模のうちは全ての顧客に十分な支援ができていても、規模が大きくなってくるにつれて支援の質や量に偏りが出てきてしまいます。
つい話しやすい顧客や連絡頻度の高い顧客に集中して、その他の顧客が後回しになってしまうというのはよくあるケース。
本来はすべての顧客が十分な説明を受けて製品を利用できる状態が望ましいものの、ハイタッチのみではそれが難しくなっていくのです。
デメリット④:顧客データがたまらない
ハイタッチでの支援はデータが溜まりにくいという側面もあります。
まず、人による支援では定量的なデータは得づらく、例えばオンボーディング時の学習状況や、インプットした資料をどれくらい理解しているかといった顧客側の「やる気」や「学習意欲」に関わる情報は正確に把握できません。カスタマーサクセスは支援側だけでなく、顧客側のモチベーションも重要ですが、それが見える化できないのです。
また、会話やヒアリングで得られる、利用上の悩みや課題といった定性的なデータも、担当者が製品に関する説明やオンボーディングにリソースの大部分を割いているような状況ではなかなか体系的に蓄積するのも難しいもの。
ベンダーとしては顧客の情報はできる限り把握したいところですが、それが難しくなりがちです。
デメリット⑤:業務が非効率に
ハイタッチは、操作の説明や機能の案内などの作業が顧客ごとに発生するため、生産性の面でも問題があります。
本来は活用方法の設計や提案といった専門的なコンサルテーションワークに時間を使い、顧客体験に+αをもたらすのがカスタマーサクセス担当者の役割のはずが、単純な作業に時間を取られてしまうのです。
また、そうした業務に担当者を埋没させてしまうと、モチベーションが低下してしまい、離職のリスクも発生します。
優秀な担当者が離職すれば、支援のバラつきや抜け漏れが増え、顧客体験が悪化する原因にもなりかねません。
デメリット⑥:財務が不健全に
ハイタッチのみを続けていると、カスタマーサクセスのみでなく組織全体の財務状況にも問題が生じることがあります。
顧客数が増えた際に、ハイタッチのまま支援の質を維持するには人を増やすしかありませんが、それを続けていると規模拡大とともにどんどん採用費、人件費がかさんでしまいます。
本来であれば、SaaSは顧客が増えれば増えるほど収益が積み上がっていくビジネスモデルですが、人件費も規模に比例してしまうとスケールするのは難しくなるでしょう。
テックタッチに取り組むべき理由
こうしたハイタッチのデメリットを解消するために効果的なのが、テックタッチの導入です。
ハイタッチのデメリットをカバーできる
テックタッチは、人の手よりもデジタルツールを中心とした支援を行うことです。大きく分けて3つのメリットがあります。
- 支援の品質を均一化
説明の抜け漏れや担当者によるばらつきがなくなり、すべての顧客に対して同じ内容を伝えられる
- 顧客の理解度を可視化
顧客の理解度が可視化されるので、状態に合わせた最適なサポートができる
- 対応可能な顧客数の増加
対応すべき業務が減り、一人の担当者が抱えられる顧客数が増える
多くの顧客に対して一定の品質のインプットができて、さらにその進捗や顧客の状況をデータとして可視化できます。
これによって、先ほど解説したハイタッチのみを行うことで発生するデメリットをカバーできるのです。
実際にテックタッチに取り組むには?
ハイタッチの欠点を補い、+αを実現するために取り組みたいテックタッチ。実際の導入にあたっては、以下のようなポイントを押さえておく必要があります。
- 顧客体験の整理
- 導入すべき支援はどこか?
- どんなツールを使うべきか?
やみくもに導入すると顧客体験が悪化したり、むしろ非効率になったりするリスクもあるため、しっかり検討しましょう。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
参考記事:効率的なカスタマーサクセスにはテックタッチが重要!役割や手法も解説
まとめ
顧客に密接に関わり、手厚い支援で成功へと導くハイタッチ支援。
カスタマーサクセスの基本とも言えるやり方ですが、同時にバラつきのリスクやスケールのしづらさといったデメリットもあります。これを解消するためには、テックタッチが効果的です。
なお、openpageならかんたん導入で効果的なテックタッチに取り組めます。検討してみてはいかがでしょうか。