openpage代表・藤島は、2023年2月より、ITmediaビジネスオンライン様にて「新時代のセールス」に関連した連載記事を執筆しています。
参考:ITmediaビジネスオンライン様の記事一覧
https://www.itmedia.co.jp/author/248485/
今回の記事では、「アメリカにおけるセールスの最新事情」という、
特に人気の高い情報を凝縮してお伝えします。
プロダクトセールスの「終わり」!?
「プロダクトセールスがそもそも”オワコン(終わったコンテンツ)”なのではないか、」という内容です。
2023年にChatGPTに代表される生成AI技術が一気に普及しました。
製品について一方的に話をしたり、伝えたりすることは、もはやChatGPTで十分できてしまいます。
アメリカの企業でよく組織として配置されている「Sales Ops」という部門では、
「ChatGPTで十分なのだから、わざわざ人が話す必要はないのでは」といった話題がよくされているそうです。
日本企業でも特に営業企画の責任者の方々からは、こういった話がちらほら出てきています。
ChatGPTに限らず、営業企画に関わる方々は「製品案内はなるべく自動化したい」「営業プロセスをDX化したい」と思っている方も多いです。
極端に言えば、「人」による営業を続けていくのであれば、「(ChatGPT等ではできない)人ならではの提案」をする必要がある、という時代になっているとも言えるでしょう。
このような激動の時代において、営業は何をすべきか。
プロダクトセールスはChatGPTがやってくれるため人は何もしなくてもよい、となれば、何をすべきなのでしょうか。
答えはそう、「カスタマーサクセス」なのです。
「カスタマーサクセス化」するセールス
営業の提案、つまり人が介在すべき提案は「プロダクトをただ案内する」だけではなく、
プロダクトをどう活用し、どのようにお客様のビジネスで生かせるか、といった「カスタマーサクセス的な案内」が求められているのです。
アメリカではこのようなカスタマーサクセス的な要素のあるセールスのことを、「バリューセールス(value sales)」とも言います。
「バリュー」は、お客様に対してただ単に製品を伝えるのではなく、製品を導入するうえでどのように価値提供ができるのか。
もう少しわかりやすく言えば、その製品を導入してお客様がうまくいく(サクセスする)方法を伝えることです。
BtoBであればその製品を導入することで売上が上がる、あるいはコストが下がる、その方法や根拠を具体的に伝授するセールス活動が求められてきています。
そもそも、BtoBビジネスにおいてなぜ企業が製品を購入するか、営業から話を聞くのかと言うと、シンプルに「自社をよくしたい」という思いが根底にあるわけです。
しかしその提案内容自体が「テンプレート」的なプロダクト紹介であれば企業にとっては「別に要らないかな」という思いが強くなってしまいます。
だからこそ営業担当は「お客様がうまくいくためのノウハウ=カスタマーサクセス的な提案」ができないといけないのです。
こうした動きはもはや大きなトレンドとして起こっている「事実」です。
だからこそ、今カスタマーサクセスに従事している方が営業のチームに行けば、
非常にニーズにマッチしておりまさに「求められる人材」であるはずです。
もちろん、カスタマーサクセスの方がセールスに、という動きもありながら、
セールスの方は引き続きセールスに従事する、というケースの方が多いと思います。
セールスとしてカスタマーサクセス的な提案をするために、どんなことを心掛けるべきか、という点も重要なポイントです。
セールスが「カスタマーサクセス的な提案」をするために必要なこと
まずお客様が自社製品をどう活用し、どのようなステップで「サクセスする」のかを明快に語れる必要があるでしょう。
そのお客様がサクセスする=成功に近づくための最短距離や、サクセスに向けて躓かない方法を知っておく必要があります。
また、お客様が躓くとすればどのような部分で躓くのか、いわば「ハードル」的な要素は何なのか、についても分かっておく必要があります。
そもそも、基本的な考え方として「お客様の会社に転職する」気持ちになって考えてみるのも良いかもしれません。
自分が営業提案を受けるお客様の立場であれば、
自分が提案を受けてどのように使うだろうか。
社内で使っていくためにどのように関係者を動かしていくだろうか。
この製品を使うことで会社がどのように良い方向に変化するだろうか。
こうした内容を考え「自分事」のように話せるようになると良いでしょう。
これらを突き詰めていくと「そもそも会社とは?」「仕事とは?」といった哲学的・プロフェッショナル的な思考に辿り着くと思いますが、
こうした「専門性」の部分はAIでは代替ができない部分だと思います。
よく「既存の仕事はAIに置き換わる!」という話がありますが、単純な案内的なものであれば容易に置き換えられていくでしょう。
そのため営業も複雑な案内、つまり顧客の状況を加味した・お客様をサクセスさせるための提案ができるべきです。
これこそが本質的な営業施策だと思っていますし、
営業においてカスタマーサクセス的な視点が重要であることの意味だと考えています。
現在営業部門で働かれている方も、ぜひカスタマーサクセスの考え方を身につけ、
お客様に刺さる課題解決の提案ができると望ましいでしょう。