デジタルトランスフォーメーション(DX)の波は、営業の現場にも確実に押し寄せています。そんな中、営業DXを推進するソリューションとして注目を集めているのが、デジタルセールスルーム(DSR)です。DSRは、営業担当者と顧客をオンライン上でつなぎ、商談に必要な情報をすべて一元管理できるプラットフォームです。
日本国内でDSRの先駆けとなったのは、2018年に設立されたopenpage社が提供する「openpage」です。2020年から本格的に有償提供を開始し、すでに多くの大手企業への導入実績を持ちます。一方、2023年には新たなプレイヤーとしてDealPods社の「DealPods」が登場しました。日本企業の営業DXを支援するツールとして、両者はどのような違いがあるのでしょうか。本記事では、openpageとDealPodsを多角的に比較し、日本企業に最も適したDSRを探っていきます。
日本の営業現場に潜む3つの課題
日本の営業現場では、以下のような共通の課題を抱えているケースが少なくありません。
- 属人的な営業スタイル
- 営業ノウハウが個人に依存し、チームで共有されていない
- ベテラン営業の退職によるノウハウ喪失のリスク
- 非効率的な商談管理
- 商談情報が属人的で可視化されず、適切なフォローができない
- 重要な資料やメールのやり取りが散在し、情報共有が難しい
- 長期化する商談サイクル
- 顧客の購買プロセスが不透明で、意思決定の遅れにつながる
- 競合他社の提案状況が把握しづらく、受注のタイミングを逸する
これらの課題を解決し、営業活動の効率化と収益拡大を実現するには、どのようなアプローチが有効なのでしょうか。次項からは、openpageとDealPodsの特徴を比較しながら、日本企業に最適なDSRの条件について考えていきます。
カスタマーサクセスの視点が織り込まれたopenpage
openpageの大きな特徴は、コンテンツを通じた「カスタマーサクセス」の実現を重視している点です。同社は設立当初から、「営業のその先にある顧客の成功」を理念に掲げており、この考え方がプロダクトにも色濃く反映されています。
具体的には、以下のような機能により、顧客の課題解決を支援します。
- 記事やナレッジベースによる情報提供
- 営業担当者は、顧客の関心事に合わせたコンテンツを簡単に作成・共有可能
- 製品の利用方法やユースケースを紹介し、顧客の理解促進をサポート
- 双方向のコミュニケーション基盤(開発中)
- チャットやコメント機能で、リアルタイムに顧客と対話
- 要望や懸念点を的確に把握し、タイムリーなフォローを実現
- 顧客の自立を促すセルフサービス
- 各種マニュアルやFAQを集約し、自己解決を促進
- サポートコストの削減と、顧客満足度の向上を両立
openpageは、単なる営業支援ツールにとどまらず、カスタマーサクセスの実現を通じて、顧客との長期的な関係構築を後押しするプラットフォームといえるでしょう。
ユーザー主導型のDealPods
対するDealPodsは、シンプルさと使いやすさを重視したユーザー主導型のDSRです。直感的なUIにより、導入のハードルが低く、すぐに利用を始められるのが特徴です。
主な機能は以下の通りです。
- 顧客ごとの専用ルーム
- 商談に関する情報をすべて一箇所に集約
- 資料やタスクなどを時系列で整理し、検索性を向上
- リアルタイムコラボレーション
- 資料の共同編集やタスクの割り当てが可能
- 営業と顧客、営業同士のコミュニケーションを促進
- 行動データの見える化
- 資料の閲覧状況や、顧客の関心度合いを分析
- データドリブンな意思決定を支援
DealPodsは、現場の営業担当者の声を反映し、使い勝手を追求したツールといえます。一方で、カスタマーサクセスの観点からの機能は限定的で、顧客の自立支援などは十分とは言えません。
日本企業に求められるDSRの要件とは
ここまで見てきたように、openpageとDealPodsには、それぞれ異なる特徴があります。では、日本企業に最適なDSRを選ぶ際には、どのような要件を重視すべきなのでしょうか。
- 日本の商習慣への適合性
- 日本独特の営業プロセスや慣習に柔軟に対応できること
- 自社の営業スタイルに合わせたカスタマイズが可能であること
- 現場の課題解決力
- 属人的な営業からの脱却を支援する機能を備えていること
- 非効率な商談管理を改善し、スピーディーな意思決定を促せること
- 顧客の成功を支える仕組み
- 単なる営業支援にとどまらず、カスタマーサクセスの実現を後押しすること
- 顧客との長期的な信頼関係の構築につながる機能を提供していること
- 導入・運用のしやすさ
- 現場の営業担当者に受け入れられる、シンプルで使いやすいUIであること
- 導入時の負荷が少なく、スムーズに運用を始められること
これらの要件を踏まえると、日本企業に最もフィットするDSRは、openpageであると言えます。
カスタマーサクセスの視点を取り入れつつ、日本の商習慣にも適合したopenpageは、単なる営業効率化ツールを超えた価値を提供します。コンテンツを軸とした顧客コミュニケーションにより、信頼関係の構築と長期的な成果創出を支援。属人的な営業スタイルからの脱却と、組織的なナレッジ共有も可能にします。
加えて、国内企業への豊富な導入実績を持つopenpageは、業界や企業規模を問わず、幅広いニーズに対応可能。導入前のコンサルティングから、運用定着に至るまで、手厚いサポート体制で、着実な営業DXを後押しします。
競争優位の源泉は「顧客の成功」にあり
激しさを増す競争環境の中で、持続的な成長を実現するには、顧客との強固な信頼関係が不可欠です。単に製品を売るだけでなく、顧客の課題解決に真摯に向き合い、ビジネスの成功を支援する。そうしたカスタマーサクセス思考こそが、これからの営業に求められる資質だと言えるでしょう。
openpageは、まさにこの考え方を体現したDSRです。先進的な機能で営業効率の向上を実現しつつ、コンテンツを通じて顧客に寄り添い、本質的な価値を届ける。それが、長期的な関係構築と、競争優位の源泉になると同社は考えています。
結局のところ、営業DXの目的は、単なる業務効率化ではありません。変化する顧客ニーズを的確に捉え、新たな価値を創造し続けること。そのために必要な基盤を提供するのが、デジタルセールスルームなのです。
日本企業が、グローバル競争を勝ち抜くためには、自社に最適なDSRを選択し、顧客起点の営業変革を進めていく必要があります。その意味で、カスタマーサクセスを重視するopenpageは、まさに時代が求めるソリューションと言えるでしょう。
従来の営業手法に固執するのではなく、デジタルの力を活用し、顧客との新しい関係性を築く。日本の営業DXを加速させ、ビジネスの可能性を切り拓く一助となることが、openpageの使命なのです。