理想的なカスタマーサクセスの仕組みとは?実現のためのポイント

  • 公開日:2022年1月31日(月)

顧客の成功に寄り添い、伴走するカスタマーサクセスは、その品質を高めることで解約率の低下やアップセル・クロスセルをもたらし、結果としてLTV(顧客生涯価値)の向上を実現します。

より多くの顧客に成功体験を提供していくためには、拡張性や再現性を考慮した仕組みを構築する必要があります。

理想的なカスタマーサクセスの仕組みと、それを作り上げるためのポイントについて紹介します。

「理想的なカスタマーサクセスの仕組み」はどんなもの?

多くの顧客に対して成功体験を提供できる状態とはどのようなものなのでしょうか。また、一般的なカスタマーサクセスが陥りがちな状態についても解説します。

「ゴールとアクションが明確で、誰にでも展開可能な状態」が理想

カスタマーサクセスにとっての理想的な状態とは、目的地(顧客の成功)とそこにいたる道のり(必要なアクション)が明確で、誰もがたどり着けるような状態です。

顧客がサービスを使って実現したい目標はどんなものかを明確に定義し、現状で何が足りないのか、その不足を埋めるためのアクションをいつ誰がどのように実行するか、またどのような指標をKPIとするかといった内容を整理することで、カスタマーサクセス担当者個々の力量だけに依存することなく、効率的な支援が実現できます。

また、こうした体系だった形式知が蓄積していけば、チーム全体にとっての再現性、他のプロジェクトへの拡張性も担保することができるので、必要最低限の労力で、効果的な支援をすばやく提供する優秀なチームを作り上げることにつながります。

カスタマーサクセスが陥りがちな悪循環

一方で、多くの企業ではまだまだカスタマーサクセスのノウハウが確立されておらず、理想的な状態になる方法を模索しているというのが実情でしょう。

チームのリソースが不足し、スタープレーヤーに負荷が集中してしまうことで、支援のプロセスが可視化・仕組み化されず、ノウハウが蓄積されなくなってしまいます。

そのような状態では、安定した品質の支援をすべての顧客に提供することは難しく、プロセスの改善やサービスへのフィードバックはどうしても後回しになってしまいます。そのため、高度な仕組みの構築がされづらいという悪循環に陥ってしまいます。

カスタマーサクセスを適切に仕組み化するための3つのポイント

ここまで理想的なカスタマーサクセスの状態を説明しましたが、多くの顧客に成功体験を提供できる仕組みを作り上げるには、どのようなポイントを押さえれば良いのでしょうか。とくに重要な3つを紹介します。

①カスタマージャーニーを定義する

カスタマーサクセスにとって何よりも重要なのが、顧客の成功とその過程をカスタマージャーニーとして明確にしておくことです。

カスタマージャーニーと聞くと、どうしてもマーケティングやセールス段階における見込み顧客の状態やタッチポイントを可視化したものと思われがちですが、既存顧客にとってもカスタマージャーニーを可視化することは重要です。

 

導入時から価値実現までの各ステップを時系列で整理して、常に参照できるようにしておきましょう。

 

3-1

①新規導入とオンボーディング

②利用の促進および定着、契約の更新

③目標達成・価値実現

というように、大まかなセクションに分けて、その中でポイントを整理することでより理解しやすくなるでしょう。

②ステップごとのデータ収集、アクションの策定

カスタマージャーニーを整理することができたら、各ポイントにおいてどのようなKPIを設定し、データを収集するか、またその結果に対してどのようなアクションをとるかまで、あらかじめ整理しておきましょう。

3-2

このKPI設計やアクションを抽象度高く緻密に整理することで、再現性や拡張性の高い支援が可能になります。多数のプロジェクト支援を続けていくことで、どの顧客にも共通する課題や、個社ごとに特徴的な課題、定型化できるプロセス、非定型な支援など、様々なパターンが見えてきます。それらを可視化して、チームの形式知として保管しておくことが重要です。

③組織の体系化と他部署との連携

カスタマージャーニーと、顧客の状況が可視化される基盤が整備されることで、ゴールへの道のりが明確になります。

一方で、それぞれのアクションには、カスタマーサクセス担当者のみでカバーできる内容もあれば、セールス、開発、カスタマーサポートなど、各部署との連携が必要になるものもあるはずです。

CSM(カスタマーサクセスマネージャー)が中心となって、カスタマーサクセス担当者、各部署の担当者の役割分担を明確にすることで、プロジェクトはさらに円滑に推進していくことになります。

カスタマーサポートをはじめとした他部署との連携については別の記事でも解説していますので、そちらもあわせてご覧ください。
参考記事:『カスタマーサクセスとカスタマーサポートはどう違う?それぞれの役割とは』

カスタマーサクセスの価値をより高めるには

カスタマーサクセスを仕組み化していくうえで欠かせないキーワードが「自動化」と「テックタッチ」です。

カスタマーサクセスの価値を高めるために、ツールを用いてカスタマーサクセス業務を自動化したり効率化したりすることによって、付加価値の高い業務に注ぐリソースを最大化することができるようになるのです。

データ分析やアラートの自動化

カスタマージャーニーの各ステップにおいて、データ収集、分析、顧客の状態把握をすることは必要不可欠ですが、全てを手動や目視で行うには膨大なリソースが必要になり、タイムラグも発生してしまいます。

BIツールやカスタマーサクセス向けの業務効率化ツールを利用することで、データ収集や分析はもちろん、テコ入れが必要な案件のアラートまでを自動化することが可能になります。

テックタッチの拡充

顧客ごとに行っている対面での支援や情報のインプットについても、多くの顧客にとって必要なものであれば、内容を共通化し、以下のようなツールを使って効率的に提供できるようにしていきましょう。

・CMS(コンテンツ管理システム)によるマニュアルや情報の配信自動化

サポートサイトにCMSを導入することで、これまで個別にインプットしていたマニュアルや活用事例、操作説明資料といったコンテンツを自動配信します。

・チュートリアルの実装

チュートリアルを準備することで、キックオフミーティングや操作説明会、やオンボーディングのサポートに費やす時間を簡略化することにつながります。

・ウェビナー・動画コンテンツの導入

1:nの導入セミナーは、開催のタイミングで多くの顧客がいるのであれば有効ですが、それでもセミナーのために割く人的リソースは大きな負担になります。オンラインで完結するウェビナーを導入したり、アーカイブ化していつでも閲覧できる状態にしておくことで、効率的な支援が可能になるでしょう。

まとめ

今回は、カスタマーサクセスを仕組み化することの重要性と、そのポイントについて紹介しました。

まずは顧客のゴールと、そこにたどり着くための道のりを明確にし、的確なアクションを取れるように整理していくことが、良質なカスタマーサクセス実現の第一歩と言えます。そのうえで、ツールや自動化による効率化を目指すのも良いでしょう。

ぜひこの機会に自社のカスタマーサクセスについて見直してみてください。

 

Topics: カスタマーサクセス, 仕組み

新規CTA
新規CTA

最新記事