前回の記事に引き続き、株式会社ユーザベース INITIAL事業にて
CCOを務めていらっしゃる大沢 遼平さんにお越しいただき、
openpage代表・藤島との対談形式でお送りします。
今回は、まだまだ謎の多い「CCOのキャリア」について大沢さんのご経験をもとに解説いただきました。
非常にボリュームのある対談でしたので、前編・後編の2回に分けてお届けします。
今回は前編となります。
前編では、大沢さんのこれまでのキャリアやCCOになられるまでの経緯についてお話をいただいています。
<後編はこちらから>
(以下、敬称略)
CCOは、日本国内ではまだまだ貴重な存在!
藤島:
今回のテーマは「CCOのキャリア」です。
日本国内にはまだまだ「CCO」として活躍されている方は少ない印象です。
おそらく、片手で数えられるくらいしかいないのではないでしょうか。
大沢さんのようにCCOを務めていらっしゃる方の存在は非常に貴重と言えますが、
大沢さんはCCOになってみて、ご自身のキャリアとして「うまくいったな」と思うことはありますか?
大沢:
まだ分からない、というのが正直なところです。
CCOは日本国内では少数派なので、ロールモデルがいないのです。
そのため、自分で海外の事例等も調べながら仕事を進めています。
藤島:
まさに、大沢さんが「CCO」というキャリアをリードしていくお一人になるのではと思っています。
モデルケースがないからこそ、今まさに大沢さんがやられている取り組みも、
「今後のCCOのキャリアベンチマーク」になっていくのではないでしょうか。
ここで、大沢さんのキャリアを深掘りたいのですが・・・キャリアのスタートは総合商社でしたでしょうか。
大沢:
はい、そうです。
大学は理系で、工学部の大学院まで行き、そこから総合商社の丸紅株式会社に新卒で入社。
丸紅では「海外電力」という部隊におり、オーストラリアとアメリカの担当として事業投資をしていました。
藤島:
事業投資とは、具体的には何をされていたのでしょうか?
大沢:
株式投資に関わっていました。
発電所を持っている会社があり、だいたいは電力会社なのですが、
そうした電力会社の株式を大きい割合で購入し、意思決定ができる状態で会社の中身をある程度綺麗にして、
それを他の企業にお譲りし、その差(利ざや)を得るというビジネスです。
藤島:
なるほど。
大沢さんはコーポレートファイナンスやM&Aを新卒の段階から仕事を通じてある程度学ばれているのですね。
私の感覚ではそれだけでもう十分市場価値が高い方というイメージですね。
「急成長事業でのCS立ち上げ」がCCOとしてのキャリアのきっかけに!
藤島:
大沢さんは、総合商社で得たM&Aや株式投資、ファイナンスの知見を持った状態でユーザベースに転職され、カスタマーサクセスを経験されています。
最初に関わったのはSPEEDA事業でしょうか?
大沢:
はい、そうです。最初はSPEEDAのセールスとして関わっていました。
当時は今で言う「THE MODEL」のような体制ではなく、セールスとCSを両方を担っていました。
私が所属していたのは、当時は「CS=”カスタマーサポート”あるいは”コンサルティングサポート”」と言われていたチームでしたので、
今の「CS」とはまたニュアンスも異なりますが、
「受注してから、お客様が使えるようになるまで」をサポートするチームでした。
最終的に、ユーザベース入社後の最初の3年はSPEEDA事業に関わっていました。
藤島:
SPEEDAはプロダクトの性質上、お客様がコンサルティングファームや金融系の方が多いと思います。
だからこそ、きっと大沢さんのようにファイナンスやM&Aが分かる方がうまくフィットしたのだと思っています。
大沢さんはSPEEDA事業を経験された後、INITIAL事業でご経験をされたと思うのですが、
INITIAL事業に「CSの立ち上げ」的な立ち位置で入っていったのでしょうか?
大沢:
はい、そうです。
正確に言えば、半年間はINITIAL事業のマーケティングチームでの経験を挟み、そのあとはカスタマーサクセスチームに参画しました。
とはいえ当時、SPEEDAとINITIALは実は「混合CSチーム」を組んでいたのです。
そのチームに僕が入って、SPEEDA担当ではありましたがINITIALというプロダクトも一緒に売っていたので、「INITIALもできるよね」と言われて。
そのうちSPEEDAは担当から外れてINITIAL専属になり、INITIALのカスタマーサクセスのメンバーになった、という感じです。
藤島:
確かに、SPEEDAとINITIALはセット売りしやすいと思いますし、
SPEEDAのターゲットは各産業幅広く、一方でNITIALがスタートアップに特化、
というプロダクトだと思うので、同時に契約されるケースも多そうですね。
INITIAL事業が伸びていたからこそ、INITIALのカスタマーサクセスで、という話だったのかなと推察するのですが、合っていますか?
大沢:
はい、合っています。
INITIAL事業は急成長していました。
具体的には、INITIAL事業のお客様の属性は非常に広がっていたのですが、
急成長と共に「これ、サポートしないとまずいよね」という話も出てきており、
カスタマーサクセスの立ち上げ的な役割で入りました。
藤島:
今回は「CCOのキャリア」というお話ではありますが、
1人目CSとしてINITIAL事業に参画された後、CCOにまでなられる、というのはよく考えればとてもすごい話ですよね。
大沢さんがINITIAL事業で「1人目CS」をやられて、その後INITIAL事業のCSメンバーは増えていき、
徐々にカスタマーサクセスマネージャーや責任者的な立ち位置になられたのでしょうか?
大沢:
そうですね。
まず責任者的な立ち位置になったタイミングとしては私がINITIAL事業に「1人目CS」として参画した1年後です。
最初の1年間はINITIAL事業CEOの下で、チーム等はなくとにかく1人でCSの取り組みを進め、1年後に2人チームになったタイミングで、私自身もチームリーダーになりました。
とはいえ2人チームだったので「チームリーダー」と言って良いのだろうか、という葛藤はありましたが。
藤島:
なるほど、事業の立ち上げ期だったからこそ、少人数の組織で仕組み作りをされたのだと理解しました。
CCOになるには、CSに留まらない領域横断的な経験・スキルが必須!
藤島:
事業が急成長していく中で、マネージャーよりも高いレベルの「CCOになってほしい」という空気感があったのはどのタイミングだったのですか?
大沢:
チームリーダーになったときから、
自分としては「このINITIALというプロダクトをすごく伸ばしたい」と思い始めたのです。
元々セールス出身でもあるため、「セールスの立場ならこういうふうに売れるんじゃないか」という話をよく他メンバーとも話していました。
だからこそ、「大沢、CCOどう?」と話をしてもらえたのは、
今思うと営業的な思考や働きかけをやっていたからこそかな、とも思います。
藤島:
確かに大沢さんは、セールスとマーケティングのご経験もありますから、
CSだけではなく、セールスも含めた事業全体を見ることができるのは、
CCOにとっても大事なポイントなのでしょう。
私もカスタマーサクセスの発信をしている中で、
カスタマーサクセスの方はどうしてもカスタマーサクセスのことばかり勉強しようとする、
カスタマーサクセスはカスタマーサクセスの人たちとだけ交流する、といった傾向がどうしてもあるのではと感じています。
もちろんこれは、別にカスタマーサクセス職に限った話ではなく、セールスも同様だとは思うのですが・・・
しかし、「CCOになる」ためには、カスタマーサクセスに閉じず事業全体まで視野を広げなければいけません。
事業全体を見るとなると、CS以外の活動つまり、営業・マーケティング・プロダクト開発等横断的に関わる必要があります。
会社というのはさまざまな職種の集合体ですので、
「CCOになれる人」はCSだけでなく、CS以外の職域の経験・スキルも必要であるということを、
大沢さんの話を聞いてあらためて思いました。
大沢:
そうですね。
おそらく日本国内でも「CS責任者」と言われている方のバックグラウンドは様々で、
カスタマーサクセスに限られているわけではありません。
エンジニア出身の方もいれば、アナリストのように分析に長けた方もいる。
もちろんセールス出身の方もいます。
CCOになるような方は、
「自分が得意な分野」から出発してCSを経験する、あるいはCSを経験してから他の分野を経験して、またCSに戻ってくる、といったケースも多いのではと感じています。
藤島:
そうですよね。
CSそれ自体も職域はとても広いのですが、
CCOとなるともっと広く経験しておく必要がある、というのは間違いないかもしれません。
(「カスタマーサクセス職での出世術を徹底解剖!(後編)に続く)