ここ数年、商品を直接顧客に届けるD2C事業に取り組む企業が増えています。
そして、これからD2Cを始める企業が収益をあげていくためには、実はカスタマーサクセスを取り入れるのが効果的なのです。
この記事では、D2Cにカスタマーサクセスを取り入れるべき理由と、効果の期待できる具体的な取り組みについて解説します。
D2Cにおけるカスタマーサクセスとは
ToBの印象が強いカスタマーサクセスですが、なぜD2C事業においても重要なのでしょうか。
D2Cにカスタマーサクセスが欠かせない理由
D2CやECにおける主な集客方法といえばデジタル広告ですが、いまやあらゆる企業が広告を出しており、顧客にとっては飽和状態になりつつあります。
そうした状況では、CPA/CPOなど顧客獲得にかかるコストも大きくなり、利益が出しづらくなります。加えて、新規顧客獲得にかかるコストは既存顧客維持の5倍以上コストがかかるとも言われています。
つまり、健全な収益モデルを確立するためには既存顧客からの売上を維持し、LTVを最大化することが欠かせないのです。そして、そうした既存顧客との関係維持に役立つのがカスタマーサクセスです。従来はToBで重視されてきましたが、最近ではToCでも取り組む企業が増え、シェアも高まってきています。
D2Cのカスタマーサクセスに必要な考え方
D2Cにおけるカスタマーサクセスも、根本的な考え方はToBと同様で、「顧客の成功」を目指して活動するのがセオリーです。
一方で、ToBと比べると顧客の成功の基準があいまいなため、「顧客が商品を通じて何を叶えたいのか?」をVOCやアンケートから調査し、チーム内で定義するところから始める必要があります。
そのうえで、こちらもToBと同様に、購買から商品利用、リピートして望みを叶える(成功する)までのカスタマージャーニーを作成し、それに沿った顧客体験を作っていくという流れが一般的です。
カスタマーサクセスにおけるカスタマージャーニー(サクセスジャーニー)とはどのようなものなのでしょうか。詳しくはこちらの記事をご一読ください。
参考記事:カスタマーサクセスもジャーニーを作るべき!メリットと方法を解説
D2Cのカスタマーサクセスにおける効果的な取り組み5選
では、D2Cにおけるカスタマーサクセスで効果が期待できる取り組みには、具体的にどんなものがあるのでしょうか。
顧客体験のパーソナライズ
顧客と直接つながるD2Cにおいて、購買体験の質は満足度を左右し、LTVを決める重要な要素。なかでも、それぞれの顧客に対してパーソナライズした体験を提供すると効果的です。
性別、年齢、地域などの基本情報に加えて、購入履歴やサイトやアプリでの行動、あるいは診断機能やアンケートによって得られた情報をもとに顧客をいくつかのセグメントに分け、それぞれに合わせた商品提案や体験設計を行いましょう。
マルチチャネルでのコミュニケーション
顧客体験の質を向上するためには、顧客との接点を増やすための取り組みも欠かせません。
顧客によって利用するコミュニケーションツールや好む方法は多岐にわたるため、幅広い層にタッチできるよう、マルチチャネルでコミュニケーションを取れるようにします。
電話、チャット、メールでの問い合わせ体制などはもちろん、各種SNSでの情報発信、アプリ上でのプッシュ通知機能なども整備しましょう。
セルフサービス環境の構築
企業から一方的な情報伝達ではなく、顧客自身が商品やブランドについて知り、不明点を自分で解決できる仕組みを作れると、顧客ロイヤルティがさらに高まり、サポート費用の最適化にも役立ちます。
商品活用に関するコンテンツをまとめたサイトを作ったり、FAQやナレッジベースを整備して購買に関する不明点などを自己解決できる仕組みを作るなどが当てはまります。
こうしたセルフサービスな顧客体験と、能動的な情報発信や商品提案を組み合わせることができれば、より良い顧客体験の創出につながるでしょう。
顧客コミュニティの構築
企業と顧客という関係性だけでなく、顧客同士が商品やブランドに関する情報交換を行えるコミュニティを構築できると、ブランドへの愛着をより高めることができます。
なかでもコミュニティサイトの運営は効果が高く、SNS上でのやりとり以上に濃いコミュニケーションを可能にし、リピート率の向上やロイヤル顧客の育成を実現できます。
加えて、サイト上の要望から商品開発につながるインサイトを得たり、メンバー限定のイベント開催、新商品に関する情報の先行発信などで顧客の関心をさらに高めることも可能です。
データ分析
顧客体験の質を高め、パーソナライズするためには、顧客データを収集して分析する基盤が欠かせません。
購買履歴(単価、回数、商品カテゴリ)はもちろん、サイト/アプリ上での行動、コミュニティサイトの利用状況などのデータを定常的に分析できる体制を作る必要があります。
そうしたデータをもとに、顧客セグメントごとの提案内容やサイト/アプリ設計を改善することで、顧客体験の向上、そしてLTVの最大化につながります。
なお、一般的なデータ分析ツールでは細かい分析が難しく、手間もかかるため、カスタマーサクセスに特化したソリューションを導入すると効率良く運用できるでしょう。
まとめ
デジタル広告の飽和によって顧客獲得コストが高まるなか、現在D2Cに取り組んでいる、あるいはこれから取り組む企業は、今後はLTVを重視した経営を取り入れ、カスタマーサクセスに取り組むことが重要になってきます。
顧客の成功を定義し、カスタマージャーニーを描いたうえで、それに沿った顧客体験を設計し、それを磨き上げていくことで、ロイヤルティとLTVの向上が実現できます。
記事内で紹介したポイントを参考に、カスタマーサクセスに着手してみてはいかがでしょうか。