前回の記事に続き、カスタマーサクセスの先進的な取り組みを進めているsalesforce社にフォーカスを当て解説します。
今回はカスタマーサクセスのうち「カスタマージャーニーマップ」をテーマに解説します。
まずは・・・salesforceのカスタマーサクセスジャーニーマップを見てみよう!
salesforceは、カスタマーサクセスの「ジャーニーマップ」を非常に綺麗に描いている会社と言えます。
Googleで「salesforce カスタマーサクセス ジャーニー」と検索すると、
お手元でもsalesforce社のカスタマージャーニーマップをご覧いただくことができると思います。
salesforce社では、カスタマーサクセスの代表的なプロセスである
「オンボーディング」
「アダプション」
「エクスパンション」という要素に沿ってカスタマージャーニーマップを作成しています。
salesforceのカスタマーサクセスでは、
製品の「契約〜導入〜定着〜活用〜更新」というプロセスで、カスタマージャーニーが整備されています。
具体的には、
・salesforceを契約し、
・お客様社内で導入し、
・お客様社内で利用を定着させてsalesforceの活用が広がり、
・契約を更新してもらう
といった一連の動きです。
salesforceのカスタマーサクセスは「有償」と「無償」の線引きが明確
salesforceのジャーニーマップの特徴は、
カスタマーサクセスとして行う顧客の支援を「ここまでは無償で」「ここからは有償で」
という線引きをして、カスタマージャーニーを設計している点です。
salesforceでは、人の手を介するハイタッチのカスタマーサクセスは「基本有償」で提供しており、
ロータッチ・テックタッチによるカスタマーサクセスは「無償」で提供しています。
具体的には、例えばsalesforceを使う上での研修や操作方法の動画などは無償で、
一方個社ごとに定着や活用の支援を人を介してサポートする場合は有償で提供しています。
「有償」のカスタマーサクセスの中身:「人」が介在するのは「アダプション」フェーズが中心
salesforceの有償のカスタマーサクセスで納得したのは、
salesforceは有償のハイタッチのサポートの中でも「最初のオンボーディングの部分」については、実はそこまで「人」を介したオンボーディングはしていません。
そもそも「人」が介在しなくいなくとも、
テックタッチ・ロータッチによるコミュニケーションを中心に、
「ユーザーが動画を見れば、自分自身でオンボーディングできる」ようにUX(ユーザーエクスペリエンス)を作り込んでいるのです。
わざわざ人が介在して一つずつ説明し、オンボーディングする必要が無くなっているので、
まさに「理想的な形」だと言えます。
では、salesforceの有償のカスタマーサクセスでは何をするのかというと、
実はオンボーディングというよりは「アダプション」のフェーズが中心です。
オンボーディングが完了した後、どのようにお客様社内でsalesforceを日常運用させていくのか・定着させていくのか、というポイントが重要になります。
また、salesforceを使っているユーザーの上長の方、
例えば事業責任者・営業部長・経営者といった方向けにも、
salesforceの導入効果のレビューをハイタッチで実施しているそうです。
他にも、有償カスタマーサクセスの対象となる企業にsalesforceの活用セミナーを開いたり、ワークショップを提供しています。
「無償」のカスタマーサクセスの中身:豊富なコンテンツを駆使したテックタッチによる支援
ここまで、salesforceの有償のカスタマーサクセスについてご紹介しましたが、
salesforceが本当にすごいのは「無償のカスタマーサクセスの仕組みが非常に整っている」点です。
salesforceでは、既存のお客様に対し、
メールマガジンを活用して定期的に操作方法の案内をしたり、
WEBサイトでコンテンツや動画を見て学習してもらえる仕組み、
ユーザー同士で交流ができるコミュニティなどをすべて「無償」で提供しています。
上述の通り、salesforceではお客様に自分で学習し、製品を使える状態になってもらうために、
Web上で学習できる膨大な量の記事やコンテンツ・ウェビナー・セミナー等も提供しています。
salesforceにはそもそも、こういった記事やコンテンツを執筆する専任のライターがおり、
基本的にはカスタマーサクセスならカスタマーサクセス部門の、
セールスならセールス部門のトッププレーヤーが、それぞれの中身を監修しているようです。
カスタマーサクセスの取り組みとして、salesforceのやり方は非常に参考にしたいところです。
また海外ではsalesforceのコミュニティの盛り上がりがすごいようで、
特にsalesforceがWeb上で提供しているコミュニティには、沢山の質問や投稿がされています。
(日本ではコミュニティの盛り上がりはまだまだこれからのようですが・・・)
コミュニティに質問したり、昔の質問を自分で検索して探すことで大体の問い合わせは解決してしまうので、
正直に言えば人が介在しなくても何とかなってしまうのです。
salesforceのカスタマーサクセスでは、こうした自己解決の仕組みを用意しつつ、
「それでも解決しない場合」には有償で支援する仕組みが準備されているのです。
このように、salesforceは非常に合理的な考えのもと仕組みを整備しています。
日本企業でカスタマーサクセスの取り組みをされている企業は、salesforceの行っているカスタマーサクセスのやり方に大いに学ぶところがあるでしょう。
「どこまでを有償にするのか」「無償提供する内容はどうするか」といったカスタマーサクセスの施策作りの上では、
salesforceのジャーニーマップを参考にすると良いのではないでしょうか。