名刺管理で有名な株式会社Sansan。
実は、カスタマーサクセスでも有名な会社です。
今回の記事では、Sansan社のカスタマーサクセスに迫ります。
Sansanの日本式のカスタマーサクセス
Sansan社は、国内でSaaS(Software as a Service)を切り開いたベンダーの1つと言えるでしょう。
Sansan社の歴史は実は長く、設立は2007年。
2007年に「リンクナレッジ」という、法人向けのクラウド名刺管理サービスを提供開始しました。現在はサービス名称を「Sansan」に変更しています。
2007年にSaaSビジネスを始めたという意味では、明らかに「他の会社よりも早い」ということが特徴です。
Sansan社は、カスタマーサクセスの取り組みについても早く開始した会社だと思います。
「日本でカスタマーサクセスの取り組みを最も早く始めたのでは?」と言えるぐらい、
Sansan社のカスタマーサクセスの取り組みは他の会社よりも早く始められているのです。
そのため、Sansan社が発表するカスタマーサクセスの取り組みは、
他の会社よりも偉く最先端を行っている印象があります。
その意味でSansan社はSaaSの中でも早い段階で生まれた会社ですが、
カスタマーサクセスの分野でもSansan社は「リーダー企業」であると言えます。
Sansan社とSIerの関係
Sansan社のカスタマーサクセス部門にいらっしゃる山田ひさのりさん、という方が書籍を出版しています。
翔泳社の運営するビジネス系オンラインメディアである「Biz/Zine」で連載していたCSに関するノウハウ記事を書籍化したものです。
この内容が非常に良く、おすすめしたい書籍です。
Sansan社はどういう企業文化かというと、
ITコンサルティング会社やSIer出身の方が非常に活躍している職場かなと思います。
Sansan社の山田さんもSIer出身で、SEをされていらっしゃった方なので、非常にロジカルな考え方をされていらっしゃる方です。
書籍の内容も、カスタマーサクセスに関して非常に体系的・論理的にまとまっており、
「日本で一番体系的にカスタマーサクセスを設計している会社がSansan社である」と言って良いでしょう。
「SIer出身の方がカスタマーサクセスのポジションで活躍する」というイメージがあまり湧かないかもしれませんが、意外とおかしな話ではありません。
SIerもBtoBの会社にITを活用して業務生産性を高めるといった提案をされています。
その中でプロジェクトマネジメントが業務として発生しますが、その仕事内容はSaaS企業におけるカスタマーサクセスにかなり近しい内容があるのです。
Sansan社も主に大手のお客様とカスタマーサクセスの活動をする際には、
仕事術はまるでSIerやITコンサル会社がやっているような企画・提案やプロジェクト管理を行っており、対大手企業にSaaSサービスを提供する会社と、SIというビジネスは非常に相性が良いのではないでしょうか。
Sansan社もGainsightの取り組みを参考にしている
山田ひさのりさんが書かれている書籍のタイトルは「カスタマーサクセス実行戦略」になります。
現在は改訂版が出ており、旧版・新版と2つのバージョンがあります。
新版の方だと、カスタマーサクセスOps(CSOps)の取り組みやテックタッチの取り組み等、カスタマーサクセスの中でも非常に最先端・トレンドに乗ったような話が出てきているので、カスタマーサクセスに関わる方にとっては必読かなと思います。
カスタマーサクセスはSaaSビジネスに関わる仕事なので、トレンドの移り変わりが早いことが特徴でしょう。
1年、2年も経つとすぐに新しい言葉や施策が生まれてくるのがカスタマーサクセスの業界なので、今回の改訂版書籍でも元々の内容をそのまま踏襲しながら、プラスアルファで新しいカスタマーサクセスのトレンドについて解説されている印象です。
Sansan社は、実は「Gainsight」という世界で一番売れているカスタマーサクセスツールを日本で初めて導入した会社です。
山田さんの書籍においても、Gainsightが提唱しているカスタマーサクセスのフレームワークや施策がかなり踏襲しているのが伺えます。
Gainsightは日本市場に進出していないので、その中でGainsightと契約するのは、日本のベンダーの中でも先駆的な動きであると言えるでしょう。
さらに、Sansan社はデータサイエンティストを社内にたくさん抱えています。
Gainsightのようなデータ分析ができるプラットフォームとは相性が良いはずです。
そのため、Sansan社でのヘルススコアの設計は他の会社と比べて巧みに設計されています。
ヘルススコアを設計する上で、Gainsightは「DEARフレームワーク」を提唱しています。
DEARフレームワークは下記4つの概念の頭文字を取っています。
- Deproyment(利用する環境が整っているのか、Saasの最初の環境ができているのか等)
- Engagement(お客様との関係性はいいのか悪いのか、メールの返事がすぐ帰ってくるのか、イベントに参加してくれるのか等)
- Adoption(製品を利用しているかどうかを見る、Sansan社であれば名刺管理ツールを使っているか)
- ROI(費用対効果。SaaSツールを契約したことに対してちゃんと効果が出ているのか)
「DEAR」の頭文字のそれぞれの指標をしっかり計測することで、お客様の健康状態、お客様とうまく関係を築けているかを見える化することができます。
Sansan社はこの運用が非常にうまく、カスタマーサクセスのデータ活用という意味だと、間違いなく国内トップクラスの会社と言えるでしょう。
DEARフレームワークは一見少なく見えて包括的な内容になっているので、
自分のカスタマーサクセスの活動や日々の仕事にも行かせる部分が多く、お客様の活動や自分達の活動を見直していくことにも使えます。
DEARフレームワークの指標をSansan社が実際にどのように活用しているか、を調べてみても面白いのではないでしょうか。
まとめ
国内でSaaS(Software as a Service)を切り開いたSansan社は、カスタマーサクセスのリーダー企業と言えるでしょう。
Sansan社では、、Gainsightが提唱しているカスタマーサクセスのフレームワークや施策を参考に自社の取り組みを進めています。
例えばヘルススコアの設計では「DEARフレームワーク」を駆使してお客様の健康状態を把握し、カスタマーサクセスの取り組みにおいてデータ活用を推進しています。
Sansan社が、Gainsightのフレームワークや施策をどのように自社に取り組んでいるのか、興味がある方は、山田ひさのりさんが書かれた「カスタマーサクセス実行戦略」を読んでみてください。
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